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今月の特集2 膵臓の病気を見逃さない
アミラーゼとリパーゼを読む
著者: 三宅一徳1
所属機関: 1順天堂大学医学部附属浦安病院臨床検査医学科
ページ範囲:P.742 - P.749
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●アミラーゼには唾液腺型が存在し,膵特異的でないのに対し,リパーゼは膵特異性が高い.
●アミラーゼとリパーゼの測定にはさまざまな測定系が用いられている.アミラーゼは酵素標準物質を介した標準化により測定値の施設間差が縮小しているが,リパーゼの標準化は今後の課題である.
●血清アミラーゼ高値例の病態解析では唾液腺型アミラーゼの影響とマクロアミラーゼの存在を常に考慮する必要がある.
●膵型アミラーゼとリパーゼの膵疾患診断能はほぼ同等とされる.
●「急性膵炎診療ガイドライン2015」では急性膵炎に対する診断的検査としてリパーゼが推奨検査とされた.
●アミラーゼには唾液腺型が存在し,膵特異的でないのに対し,リパーゼは膵特異性が高い.
●アミラーゼとリパーゼの測定にはさまざまな測定系が用いられている.アミラーゼは酵素標準物質を介した標準化により測定値の施設間差が縮小しているが,リパーゼの標準化は今後の課題である.
●血清アミラーゼ高値例の病態解析では唾液腺型アミラーゼの影響とマクロアミラーゼの存在を常に考慮する必要がある.
●膵型アミラーゼとリパーゼの膵疾患診断能はほぼ同等とされる.
●「急性膵炎診療ガイドライン2015」では急性膵炎に対する診断的検査としてリパーゼが推奨検査とされた.
参考文献
1)Tietz NW, Shuey DF:Lipase in serum--the elusive enzyme: an overview. Clin Chem 39:746-756,1993
2)Meisler MH, Ting CN:The remarkable evolutionary history of the human amylase genes. Crit Rev Oral Biol Med 4:503-509,1993
3)Perry GH, Dominy NJ, Claw KG, et al:Diet and the evolution of human amylase gene copy number variation. Nat Genet 39:1256-1260,2007
4)小川善資,長谷川昭:アミラーゼ(AMY).臨病理レビュー 116:36-44,2001
5)小川善資,北川由美,伊藤啓:アミラーゼ活性測定用基質としてどのような理由でIPG7Fを開発したのか?.生物試料分析 18:123-133,1995
6)Lorentz K:Approved recommendation on IFCC methods for the measurement of catalytic concentration of enzymes. Part 9. IFCC method for alpha-amylase (1,4-alpha-D-glucan 4-glucanohydrolase, EC 3.2.1.1). International Federation of Clinical Chemistry and Laboratory Medicine (IFCC). Committee on Enzymes. Clin Chem Lab Med 36:185-203,1998
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8)三宅一徳:リパーゼ.臨病理レビュー 116:90-99,2001
9)飯塚儀明,谷渉,足立浩,他:ヒト血清中の膵リパーゼ活性測定の常用基準法候補法.臨化 41:72-85,2012
10)大槻眞:アミラーゼ,アミラーゼアイソザイム,尿中アミラーゼ.日医師会誌 135:S124-S127,2006
11)急性膵炎診療ガイドライン2015改訂出版委員会:CQ2 急性膵炎の診断では,どの膵酵素の測定が重要か?.急性膵炎診療ガイドライン2015 第4版,金原出版,pp58-63,2015
12)日本消化器病学会:CQ 1-2 血中・尿中膵酵素測定は慢性膵炎診断に有用か?.慢性膵炎診療ガイドライン 改訂第2版,南江堂,pp4-5,2015
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