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文献詳細

雑誌文献

臨床検査61巻6号

2017年06月発行

文献概要

検査説明Q&A・28

平均赤血球容積(MCV)は基準範囲内ですが,平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)の低下がみられました.どのようなことが考えられますか?

著者: 出居真由美1 田部陽子1

所属機関: 1順天堂大学医学部臨床検査医学講座

ページ範囲:P.750 - P.753

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■赤血球系血算値

 赤血球系血算値には,赤血球数(red blood cell:RBC),ヘモグロビン濃度(hemoglobin:Hb),ヘマトクリット値(hematocrit:Ht),赤血球指数である平均赤血球容積(mean corpuscular volume:MCV),平均赤血球ヘモグロビン量(mean corpuscular hemoglobin:MCH),平均赤血球ヘモグロビン濃度(mean corpuscular hemoglobin concentration:MCHC)の基本項目に加え,赤血球粒度分布幅(red cell distribution width:RDW),網赤血球数(reticulocyte:Ret)がある.現在では,ほぼ全ての検査機関において自動血球分析装置によって測定されている.

 基本的な測定原理は,電気抵抗法,光学的測定法,またはそれらを複合させた測定系であり,Hbについては比色分析を利用している.赤血球指数は計測されるRBC,Hb,MCV(またはHt)から算出される.Htは,血液中に占める赤血球の容積比率であり,用手法の時代には遠心法によって測定されていたが,自動血球分析装置では,MCVとRBCから算出する方法〔Ht(%)=MCV(fL)×RBC(106/μL)/10〕か,定量吸引された血液量に対する赤血球パルス波高から累積算出する方法(赤血球パルス波高値検出法)で算出されるため,Htは直接測定されていないことに留意する必要がある1,2)

参考文献

1)金井正光(監),奥村伸生,戸塚実,矢富裕(編):臨床検査法提要 改訂第34版,金原出版,2015
2)日本検査血液学会(編):スタンダード検査血液学 第2版,医歯薬出版,2008
3)World Health Organization (WHO):Worldwide prevalence of anaemia 1993-2005, 2008(http://www.who.int/nutrition/publications/micronutrients/anaemia_iron_deficiency/9789241596657/en/)
4)日本臨床検査標準化協議会基準範囲共有化委員会(編):日本における主要な臨床検査項目の共有基準範囲案—解説の利用と手引き 2014年3月31日修正版,2014
5)佐藤尚武:赤血球系血算値.臨検 59:159-165,2015
6)浅野茂隆(監),池田康夫,内山卓(編):三輪 血液病学 第3版,文光堂,2006
7)日本臨床検査医学会ガイドライン作成委員会(編):臨床検査のガイドラインJSLM2015,宇宙堂八木書店,2015
8)佐藤尚武:検査上,可能性のある血球数異常.日老医誌 51:531-535,2014
9)佐藤尚武:平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)が異常高値を呈していますが,どのようなことが考えられますか?.臨検 57:1230-1231,2013
10)牧俊哉:臨床検査のピットフォール 室温放置検体の血算値に注意!.検と技 44:75-77,2016

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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