臨床検査62巻3号

2018年03月発行

今月の特集2 成人先天性心疾患

心エコーによる先天性心疾患の術前評価

著者： 富松宏文¹

所属機関： ¹東京女子医科大学循環器小児科

ページ範囲：P.300 - P.309

Point

●先天性心疾患の診断には区分診断法が重要であるが，それだけでは診断は完結しない．欠損孔だけでなく，半月弁や房室弁の形態診断が重要である．

●先天性心疾患では後天性心疾患と異なり短絡をもつことが多く，体血流量と肺血流量が異なることが多い．

●肺高血圧は手術適応を決定するためには重要な因子であり，肺動脈収縮期圧だけでなく，肺血管抵抗の評価が重要である．

●先天性心疾患では診断名が同じでも，病型や合併病変によって術式が異なることがあるため，どのような手術方法が可能であるかを考えながら診断する．

参考文献

1）富松宏文：区分診断法．心エコーハンドブック　先天性心疾患（竹中克，戸出浩之編），金芳堂，pp142-157，2017

2）富松宏文：画像診断—心エコー．Eisenmenger症候群　小児から成人まで（丹羽公一郎，村上智明編），医薬ジャーナル社，pp46-61，2017

3）富松宏文：心室中隔欠損—心エコー診断について．日小児循環器会誌　26：132-139，2010

4）富松宏文：経皮的心房中隔欠損孔閉鎖術（ASO）．心臓手術チームのための経食道心エコー（村田光繁，山田達也編），文光堂，pp146-157，2017

5）Rastelli G, Kirklin JW, Titus JL：Anatomic observations on complete form of persistent common atrioventricular canal with special reference to atrioventricular valves. Mayo Clin Proc　41：296-308，1966

6）富松宏文：心内膜床欠損症—小児科．今日の心臓手術の適応と至適時期（吉川純一監修，伊藤浩，他編），文光堂，pp192-195，2011

7）門間和夫：Fallot四徴症．臨床発達心臓病学　改訂3版（高尾篤良　他編），中外医学社，pp490-497，2001

8）富松宏文：TGAにおけるswitch手術の術後評価．超音波検技　39：479-489，2014

9）富松宏文：心エコーによる術前評価の考え方と注意点．心エコー　17：112-118，2016