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増刊号 検査項目と異常値からみた—緊急・重要疾患レッドページ 1章 全身疾患
呼吸性アシドーシス・アルカローシス
著者: 徳山博文1 伊藤裕1
所属機関: 1慶應義塾大学医学部腎臓内分泌代謝科
ページ範囲:P.372 - P.373
文献購入ページに移動 体内に酸が負荷されると,緊急避難緩衝系によって動脈血水素イオン指数(pH)の急激な低下は避けられるが(図1,①),重炭酸イオン(HCO3-)濃度の低下は免れない.ここで,腎臓が中性物質から同量のH+とHCO3-を生成して(図1,②),H+は尿中に排泄し,HCO3-は体内に回収することを行っている(図1,③).腎でのHCO3-の調整機構は,近位尿細管におけるHCO3-の再吸収,皮質集合管でのHCO3-の産生(H+の排泄)である.不揮発性酸の排泄は皮質集合管でのH+の分泌そのもので起こるのではなく,それによる尿pHの低下によって,滴定酸(HPO42−)やNH3がバッファーとなってH+を受け取り,尿pHを下げ過ぎないようにして行われる.1日の代謝活動により約15,000molのCO2が末梢で産生されるといわれ,呼気中に排出される(図1,④).肺でのCO2排泄は換気量に依存する.換気は延髄,頸動脈での化学受容体により,動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)と動脈血酸素分圧(PaO2)によって調整される.呼吸性アシドーシスは換気低下によって起こり,呼吸性アルカローシスは過換気によって起こる.
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