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文献詳細

雑誌文献

臨床検査63巻4号

2019年04月発行

文献概要

増刊号 検査項目と異常値からみた—緊急・重要疾患レッドページ 1章 全身疾患

腹水貯留性疾患

著者: 池田隆明1

所属機関: 1横須賀市立うわまち病院消化器内科

ページ範囲:P.385 - P.387

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 腹腔内には生理的に50mL程度の液体が存在する.腹水とは,これを超えた量の液体が腹腔内に存在する状態やその液体を指す.超音波検査は腹水貯留の診断に有用である.腹水貯留性疾患の代表は,肝硬変などの門脈圧亢進を伴う疾患である.全身的な体液貯留に関連した腹水は,ネフローゼ症候群,心不全で認められる.ほかに癌性や感染性腹膜炎,内分泌疾患,膠原病による腹水などがある.血清と腹水のアルブミン濃度差(SAAG)は,腹水の原因が門脈圧亢進によるか否かの指標になる.疾患を特定するため,さらに腹水中の細胞診,白血球数の確認や生化学的検査を行う.腹水貯留の病態,治療に関連した電解質異常の把握も重要である.

参考文献

●Runyon BA, Montano AA, Akriviadis EA, et al:The serum-ascites albumin gradient is superior to the exudate-transudate concept in the differential diagnosis of ascites. Ann Intern Med 117:215-220,1992
●平井都始子,大石元:腹水.超音波消化器病学(竹原靖明,有山襄編),南江堂,pp461-466,1996
●坂根潤一,河野亜衣,齊藤幸枝,他:体腔液検体は目的に合わせて保存しなくてはダメ!.Med Technol 42:1452-1455,2014
●池田隆明:内科診断の道しるべ その症候,どう診る どう考える—腹水.medicina 53増刊号:322-326,2016

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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