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文献詳細

雑誌文献

臨床検査63巻4号

2019年04月発行

文献概要

増刊号 検査項目と異常値からみた—緊急・重要疾患レッドページ 3章 消化器疾患

急性ウイルス性肝炎

著者: 八橋弘1

所属機関: 1国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター肝臓内科

ページ範囲:P.402 - P.405

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 急性ウイルス性肝炎とは,主に肝炎ウイルスが原因で起こる急性のびまん性疾患で,黄疸,食欲不振,嘔気嘔吐,全身倦怠感,発熱などの症状を呈する.肝炎ウイルスとしてはA,B,C,D,E型の5種類が確認されているが,D型肝炎ウイルスは,HBVとの同時感染が必要で頻度が低いため,本稿ではA,B,C,E型を中心に記載する.肝炎ウイルスではないものの,Ebstein-Barrウイルス(EBV)による伝染性単核球症やサイトメガロウイルス(CMV)感染に伴う肝障害は,急性の肝障害の原因としての頻度が高く,鑑別しなければならない.急性肝炎の予後は一般に良好だが,急性肝炎患者の約1〜2%は劇症化し,一度劇症化すると高率に死亡する.

 肝炎ウイルスマーカー測定の目的は,急性肝炎の原因診断,B型とC型の持続感染例での病態の把握,治療適応や治療中のモニタリング,効果判定などである.原因診断,病態診断は,複数のウイルスマーカーの測定結果の組み合わせで行わなければならない.

参考文献

1)中尾瑠美子,八橋弘,明時正志,他:B型急性肝炎とHBVキャリア急性増悪のCLIA法IgM-HBc抗体価による判別.肝臓 47:279-282,2006
2)岡野宏,中野達徳,岡本宏明:薬物性肝障害診断スコアリングにおけるE型肝炎の診断マーカー追加の必要性についての検討.肝臓 55:325-334,2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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