文献詳細
増刊号 検査項目と異常値からみた—緊急・重要疾患レッドページ
5章 呼吸器疾患
文献概要
Chlamydophila pneumoniae(肺炎クラミドフィラ)は偏性細胞内寄生性細菌であり,Gram染色では観察できない.飛沫感染によってヒトからヒトに感染し気管支炎や肺炎の原因となるが,不顕性感染や上気道感染(感冒症状)にとどまることも多い.市中肺炎の病原微生物の2.8%は本菌であると報告されている1)が,PCR法などの遺伝子解析によって診断した場合,クラミドフィラ肺炎の頻度はさらに低くなる可能性がある.クラミドフィラ肺炎は,他の病原微生物との混合感染が多いことも特徴であり,喀痰のGram染色や培養検査を行うことも重要である.臨床症状では頑固で遷延する咳嗽が高頻度にみられ,また,肺外症状では頭痛が1/3の症例に認められる.有症状者のみならず無症状者も存在し,クラミドフィラ肺炎は無症状〜軽症肺炎を呈する.
参考文献
1)日本呼吸器学会成人肺炎診療ガイドライン2017作成委員会(編):SCOPE—肺炎の基本的特徴 市中肺炎.成人肺炎診療ガイドライン2017,日本呼吸器学会,pp9-33,2017
2)Kishimoto T, Ando S, Numazaki K, et al:Assay of Chlamy-dia pneumoniae-specific IgM antibodies by ELISA method--reduction of non-specific reaction and resetting of serological criteria by measuring IgM antibodies--. Jpn J Infect Dis 62:260-264,2009
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