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増刊号 検査項目と異常値からみた—緊急・重要疾患レッドページ 6章 腎疾患
コレステロール塞栓症
著者: 狩野俊和1
所属機関: 1国立国際医療研究センター国府台病院リウマチ膠原病科
ページ範囲:P.490 - P.491
文献購入ページに移動 コレステロール塞栓症は大動脈などの大血管壁にあるアテローム(粥腫)が破綻して,コレステロール結晶が血中に流れ出し,末梢で塞栓を生じる疾患である.アテローム破綻はカテーテル検査,心血管手術(冠動脈バイパス術,動脈瘤手術),抗凝固療法,血栓溶解療法などが契機となることが多いが自然発生もある.障害臓器として多いのは腎・四肢皮膚・消化管・中枢神経・網膜などであるが,全身のあらゆる臓器に起こりうる(表1).確定診断は皮膚や腎生検などによりコレステロール結晶を証明する必要がある.急性期のステロイド治療や再発予防にスタチン投与が行われるが,腎機能の予後は悪く30〜60%で血液透析となる1).末期腎不全に至らなくても腎障害が完全には回復しないことが多いため,早期発見が重要である.
参考文献
1)長谷弘記:慢性腎臓病とコレステロール塞栓症.日内会誌 105:850-856,2016
2)Belenfant X, Meyrier A, Jacquot C:Supportive treatment improves survival in multivisceral cholesterol crystal embolism. Am J Kidney Dis 33:840-850,1999
3)狩野俊和:腎コレステロール塞栓症.日臨 75(増刊5):888-893,2017
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