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雑誌詳細

文献概要

増刊号 検査項目と異常値からみた—緊急・重要疾患レッドページ 8章 内分泌・代謝疾患

ADH分泌不適合症候群

著者: 宮田崇1 有馬寛1

所属機関: 1名古屋大学大学院医学系研究科糖尿病・内分泌内科学

ページ範囲:P.516 - P.517

 抗利尿ホルモン(ADH)分泌不適合症候群(SIADH)は,低浸透圧,低ナトリウム血症にもかかわらず,ADHであるアルギニンバソプレシン(AVP)の分泌が抑制されないため,腎尿細管での水の再吸収が亢進して水利尿不全による希釈性低ナトリウム血症を呈する疾患である.原因としては,中枢神経系疾患,肺疾患,異所性AVP産生腫瘍,薬剤がある.症状としては頭痛,悪心,嘔吐,意識障害,痙攣などの低ナトリウム血症に伴う症状が出現する.低ナトリウム血症が急速に発症した場合には早期に重篤な症状が出現するが,慢性の低ナトリウム血症では血清ナトリウム濃度が低値の割に症状は軽度にとどまる.

参考文献

●厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業間脳下垂体機能障害に関する調査研究班:バゾプレシン分泌過剰症(SIADH)の診断と治療の手引き(平成22年度改訂).厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業間脳下垂体機能障害に関する調査研究 平成22年度総括・分担研究報告書,厚生労働省,pp158-159,2011
●日本内分泌学会(編):視床下部・下垂体疾患 SIADH.内分泌代謝科専門医研修ガイドブック,診断と治療社,pp261-263,2018
●Ellison DH, Berl T:Clinical practice. The syndrome of inappropriate antidiuresis. N Engl J Med 356:2064-2072,2007

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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