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増刊号 検査項目と異常値からみた—緊急・重要疾患レッドページ 12章 中毒性疾患
有機リン・サリン中毒
著者: 清田和也1
所属機関: 1さいたま赤十字病院高度救命救急センター
ページ範囲:P.556 - P.557
文献購入ページに移動 神経伝達物質であるアセチルコリン(ACh)を分解するコリンエステラーゼ(ChE)が阻害され,AChが過剰となることにより中毒症状が起こる.副交感神経刺激作用,神経筋接合部の阻害による筋麻痺や線維束攣縮,交感神経節刺激による交感神経症状,中枢神経症状がある.徐脈,縮瞳,唾液・涙・気道分泌亢進などのムスカリン様作用による副交感神経刺激症状はコリン作動性トキシドローム(toxidrome)として有名である.特にサリンなどの神経毒ガス類は毒性が高いが,いずれの中毒も呼吸循環の管理を直ちに行わなければ死に至る緊急度・重症度の高い中毒である.治療薬としてプラリドキシムヨウ化メチル(PAM)が使用されるが,血糖測定値への影響があり注意が必要である.
参考文献
1)日本救急検査技師認定機構,日本臨床救急医学会(監),日本救急検査技師認定機構テキスト編集委員会(編):迅速検査法による薬毒物検査.救急検査指針 救急検査認定技師テキスト,へるす出版,pp204-209,2013
2)大日本住友製薬:パム静注500mg添付文書 第11版,2015(http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/3929401A1035_3_06/)(最終アクセス:2019年2月19日)
3)日本分析機器工業会:PAM影響試験成績結果表,2014/7/18改訂版,2014(https://www.jaima.or.jp/jp/about/activities/committee/ivd/touser/pam/)(最終アクセス:2019年2月19日)
●上條吉人:殺虫剤 有機リン.臨床中毒学(相馬一亥監),医学書院,pp238-246,2009
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