icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床検査63巻4号

2019年04月発行

文献概要

増刊号 検査項目と異常値からみた—緊急・重要疾患レッドページ 13章 妊産婦・女性性器疾患

卵巣腫瘍茎捻転

著者: 羽間夕紀子1 下屋浩一郎1

所属機関: 1川崎医科大学産婦人科学1教室

ページ範囲:P.560 - P.561

文献購入ページに移動
 卵巣とは,骨盤漏斗靱帯と卵巣固有靱帯で支持された,可動性が高く,物理的に茎捻転しやすい臓器である.卵巣腫瘍茎捻転は,婦人科救急の現場では比較的よく遭遇する疾患として知られており,緊急手術の適応となるため迅速な対応が望まれる.症状としては,突発的な下腹部痛を主体とし,患側優位にこの症状が出現するとされているが,必ずしもそうとは限らず,痛みの程度も茎捻転の度合いに比例してさまざまである.また,嘔気・嘔吐などの消化器症状が出現することもしばしばで,鑑別疾患を除外しながらの診断になる.あくまで確定診断は手術所見による.治療は,緊急性を要すれば緊急手術となるが,緊急性がなければ鎮痛薬で疼痛コントロールを行いながら,悪性腫瘍の除外をしたうえでの手術が理想である.開腹手術や腹腔鏡手術は双方可能である.手術所見によっては卵巣摘出の可能性もあるため,生殖可能年齢であればインフォームドコンセントが重要となってくる.治療が完了すれば予後は良好であるが,卵巣温存した場合は再発のリスクもあることを考慮にいれなければならない1)

参考文献

1)産婦人科治療 Vol.100 2010年増刊号 産婦人科救急のすべて,永井書店,2010
2)Daponte A, Pournaras S, Hadjichristodoulou C, et al:Novel serum inflammatory markers in patients with adnexal mass who had surgery for ovarian torsion. Fertil Steril 85:1469-1472,2006
3)Varras M, Tsikini A, Polyzos D, et al:Uterine adnexal torsion: pathologic and gray-scale ultrasonographic findings. Clin Exp Obstet Gynecol 31:34-38,2004
4)Anders JF, Powell EC:Urgency of evaluation and outcome of acute ovarian torsion in pediatric patients. Arch Pediatr Adolesc Med 159:532-535,2005
5)伊熊健一郎:卵巣の救急疾患—腹腔鏡下手術例を中心に—.救急医学=The Japanese journal of acute medicine 1:75-82,1977
6)Yen CF, Lin SL, Murk W, et al:Risk analysis of torsion and malignancy for adnexal masses during pregnancy. Fertil Steril 91:1895-1902,2009
7)日本産科婦人科学会,日本産婦人科医会:産婦人科診療ガイドライン産科編2017.日本産科婦人科学会,2017

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?