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文献詳細

雑誌文献

臨床検査64巻11号

2020年11月発行

文献概要

今月の特集1 基準範囲と臨床判断値を考える

—臨床判断値を考える—糖尿病関連検査の臨床判断値

著者: 窪田直人1

所属機関: 1東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科

ページ範囲:P.1298 - P.1307

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Point

●糖尿病はインスリン作用の不足による慢性高血糖を主徴とする代謝疾患群である.通常,その診断には血糖値およびヘモグロビンA1c(HbA1c)が用いられる.

●75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)は正確な耐糖能の判定に実施される.この結果から正常型,境界型,糖尿病型を判定する.

●HbA1cは,採血条件に左右されない約1〜2カ月前の血糖値の平均を示す優れた検査値である.血糖値と乖離が認められる場合があるので留意が必要である.

●グリコアルブミン(GA)は血糖値が安定している状態ではHbA1cの約3倍の値を示す.2週間程度の血糖状態を反映し,食後高血糖のよいマーカーにもなりうる.

●血清1,5アンヒドログルシトール(1,5AG)濃度はHbA1cやGAと比較すると,より短期間の血糖コントロールを反映する.特に血糖コントロールが良好な患者の鋭敏な指標となる.

参考文献

1)日本糖尿病学会(編・著):糖尿病専門医研修ガイドブック 改訂第7版,診断と治療社,2017
2)日本糖尿病学会(編・著):診断.糖尿病治療ガイド2020-2021,文光堂,pp26-27,2020
3)Ito C, Maeda R, Ishida S, et al:Importance of OGTT for diagnosing diabetes mellitus based on prevalence and incidence of retinopathy. Diabetes Res Clin Pract 49:181-186,2000
4)Ito C, Maeda R, Ishida S, et al:Correlation among fasting plasma glucose, two-hour plasma glucose levels in OGTT and HbA1c. Diabetes Res Clin Pract 50:225-230,2000
5)矢冨裕(編):これだけは知っておきたい検査のポイント.medicina 2015増刊号,2015
6)清野裕,南條輝志男,田嶼尚子,他:糖尿病の分類と診断基準に関する委員会報告.糖尿病 53:450-467,2010
7)日本糖尿病学会:糖尿病の分類と診断基準に関する委員会報告(国際標準化対応版).糖尿病 55:485-504,2012
8)目黒周,武井泉:ヘモグロビンA1c.内科 111:1161-1162,2013
9)目黒周,武井泉:グリコアルブミン.内科 111:1163,2013
10)目黒周,武井泉:1,5アンヒドログルシトール.内科 111:1164,2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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