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文献詳細

雑誌文献

臨床検査64巻4号

2020年04月発行

文献概要

増刊号 これで万全!緊急を要するエコー所見 1章 腹部エコー

腸閉塞(イレウス)

著者: 山下安夫1

所属機関: 1東北労災病院超音波診断室

ページ範囲:P.384 - P.388

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疾患の概要

 腸閉塞(イレウス)とは,何らかの原因で腸管内容の通過が障害された状態と定義される.従来,腸閉塞とイレウスは同義語として用いられてきたが,「急性腹症診療ガイドライン2015」1)において,“腸閉塞”と“イレウス”を区別することが提案され,“腸管が機械的に閉塞した場合を腸閉塞とし,機能性(麻痺性)のものをイレウスと呼ぶ”と定義された.

 腸閉塞は,血流障害を伴わない単純性腸閉塞と血流障害を伴う複雑性腸閉塞(広義の絞扼性腸閉塞)に分類される(図1).単純性腸閉塞の原因は,小腸では開腹術後や炎症(Crohn病など)による癒着が最も多く,大腸では腫瘍が大部分を占める.一方,複雑性腸閉塞の原因は,小腸では開腹術後の索状物(バンド)による絞扼,ヘルニア嵌頓,腸重積,腸軸捻転など,大腸では乳児の腸重積と高齢者に好発する軸捻転が主なものである.イレウスは腸管の蠕動運動の低下により腸管内容物の通過障害をきたした状態で,麻痺性イレウスと痙攣性イレウスがある.麻痺性イレウスは開腹術後が最も多く,そのほかには種々の原因による腹膜炎,腹腔内出血などが原因で発症する.痙攣性イレウスの原因は,手術や外傷,神経障害,中毒などであるが,頻度は極めて低い.

参考文献

1)急性腹症診療ガイドライン出版委員会(編):急性腹症診療ガイドライン2015,医学書院,2015
2)荒木力:腸管閉塞・イレウス.ここまでわかる急性腹症のCT 第3版,メディカル・サイエンス・インターナショナル,pp188-191,2018

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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