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増刊号 これで万全!緊急を要するエコー所見 1章 腹部エコー
腸管出血性大腸菌感染症(O157腸炎)
著者: 林健太郎1
所属機関: 1藤枝市立総合病院超音波科
ページ範囲:P.404 - P.407
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大腸菌は家畜や人の腸内に常在し,そのほとんどは害がない.しかし,なかには下痢などの症状を引き起こす“病原性大腸菌”があり,細菌学的には菌の表面にある抗原(O抗原とH抗原)に基づいて細かく分類される.そのうち,ベロ毒素(Vero toxin:VT)を産生する大腸菌を“腸管出血性大腸菌(enterohemorrhagic Escherichia coli:EHEC)”と呼ぶ.代表的なものは,O157(60〜70%),O26(20%),O111(10%)などであるが1),重症化するものの多くは,大半が病原性の高いVT2を産生するO157である.本稿では,O157腸炎を中心に解説する.
O157腸炎は夏季に多いが冬季にもみられ,集団発生事例の報告は減ったものの,散発事例における患者数は漸増状態で,わが国でも毎年4,000人前後の発生が続いている1,2).
大腸菌は家畜や人の腸内に常在し,そのほとんどは害がない.しかし,なかには下痢などの症状を引き起こす“病原性大腸菌”があり,細菌学的には菌の表面にある抗原(O抗原とH抗原)に基づいて細かく分類される.そのうち,ベロ毒素(Vero toxin:VT)を産生する大腸菌を“腸管出血性大腸菌(enterohemorrhagic Escherichia coli:EHEC)”と呼ぶ.代表的なものは,O157(60〜70%),O26(20%),O111(10%)などであるが1),重症化するものの多くは,大半が病原性の高いVT2を産生するO157である.本稿では,O157腸炎を中心に解説する.
O157腸炎は夏季に多いが冬季にもみられ,集団発生事例の報告は減ったものの,散発事例における患者数は漸増状態で,わが国でも毎年4,000人前後の発生が続いている1,2).
参考文献
1)佐田美和,小林清典,斎藤友哉,他:腸管出血性大腸菌腸炎.消内視鏡 29:71-74,2017
2)五十嵐隆:HUSの診断.溶血性尿毒症症候群の診断・治療ガイドライン(溶血性尿毒症症候群の診断・治療ガイドライン作成班編),東京医学社,pp11-15,2014
3)吉野修郎,松本主之,小林広幸,他:病原性大腸炎による腸炎.Intestine 15:43-48,2011
4)大川清孝,青木哲哉,上田渉,他:腸管感染症の画像診断.胃と腸 53:399-407,2018
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