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文献詳細

雑誌文献

臨床検査64巻4号

2020年04月発行

文献概要

増刊号 これで万全!緊急を要するエコー所見 2章 心エコー

心タンポナーデ

著者: 古島早苗1

所属機関: 1長崎大学病院超音波センター

ページ範囲:P.442 - P.447

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疾患の概要

病態

 心タンポナーデとは,心膜液貯留により心膜腔内圧が上昇し心腔内圧を凌駕した結果,心室拡張期の静脈還流が障害され,心拍出量が低下することで循環不全をきたした状態であり,急性経過ではしばしばショックに陥る.心膜液貯留の原因は多岐にわたる(表1).

 心膜液貯留量と心膜腔内圧は必ずしも相関せず,外傷,大動脈解離および心破裂,診断治療手技の合併症(冠動脈穿孔や心筋の穿孔)など,心膜液が急速に貯留した場合には心膜が広がることができないため少量の心膜液でもタンポナーデを呈するが,癌性心膜炎などで緩徐に貯留した場合には代償的に心膜が伸展するため,多量に貯留するまではタンポナーデをきたさない.また,心室内圧もタンポナーデ発生に関与するため,心室肥大や心室拡張末期圧が上昇している状態では,心膜腔内圧の影響を受けにくい.

参考文献

1)吉牟田剛:心膜液貯留・心タンポナーデ総論.心エコー 19:866-871,2018
2)種池里佳,中谷 敏:心筋炎・心膜疾患 心膜液貯留・心タンポナーデ.臨床心エコー図学 第3版(吉川純一編),文光堂,pp460-463,2008
3)鍵山暢之:心タンポナーデをいかにして疑うか.心エコー 17:410-417,2016

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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