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文献詳細

雑誌文献

臨床検査64巻8号

2020年08月発行

文献概要

今月の特集2 IgG4関連疾患の理解と検査からのアプローチ

蛋白分画検査からIgG4関連疾患を疑う—臨床検査部が主導してのIgG4高値の検出

著者: 松村充子1 松尾収二1

所属機関: 1天理よろづ相談所病院臨床検査部

ページ範囲:P.907 - P.913

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Point

 天理よろづ相談所病院では,①臨床検査部の判断で蛋白分画を実施し,②蛋白分画検査から免疫グロブリン(Ig)G4高値を読み取り,③この結果をもとに主治医に報告している.
①もともと,M蛋白の存在を主治医に知らせるために,血清グロブリン値が4g/dL以上の場合は,検査室の判断で蛋白電気泳動を行っていたので,その流れをそのまま活用した.
②IgG4は等電点が低く陽極側に易動するため,その易動度はfast-γ位となる.fast-γ位にバンドはあるが,これが不明瞭な場合は,5倍希釈と原倍のIgGを測定し,その差がおよそ200mg/dL以上の場合はIgG4高値と判断する.これはIgG4高値の場合,IgGがポストゾーンのために偽低値になることを活用したものである.
③IgG4濃度がおおむね450mg/dL以上であれば蛋白分画検査で検出できる.過去約2年の間に12例の報告を行った結果,主治医はほぼ全例,報告に従って診療を行っていた.

参考文献

1)井本真由美,山田俊幸,上硲俊法:新しい臨床検査と電気泳動の活用法 血清蛋白分画検査を院内で実施する意義.電気泳動 61:74-78,2017
2)井本真由美,渡辺勝紀,辰巳陽一,他:IgG4関連疾患に認めた総IgGとIgGサブクラス測定値(IgG1〜IgG4総和)との乖離についての考察.臨病理 60:1053-1057,2012
3)畑中徳子,田村早紀,山本慶和,他:検査部から蛋白分画追加検査を推奨した高グロブリン血症患者の追跡調査.臨病理 66:1065-1071,2018
4)久保信彦,東孝典,櫻林郁之介,他:免疫グロブリンG(IgG)とそのサブクラス.日臨 53:3-6,1995
5)亀子光明,北村弘文,川茂幸,他:ネフロメトリー法によるIgG4測定法の基礎的検討と臨床的意義.臨病理 58:393-396,2010
6)松木友里,照内友也,森和雄:汎用自動分析装置におけるIgG4測定試薬「N-アッセイ LA IgG4 ニットーボー」の性能評価.医と薬学 75:849-858,2018
7)岡崎和一,池宗真美,柳川雅人,他:第8回 IgG4の特徴.分子消化器病 12:409-413,2015

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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