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雑誌詳細

文献概要

今月の特集 対比して学ぶエコー所見で鑑別に悩む疾患

肝:転移性肝腫瘍と肝血管腫

著者: 山本幸治1

所属機関: 1社会福祉法人恩賜財団済生会松阪総合病院医療技術部/検査課

ページ範囲:P.6 - P.10

はじめに

 超音波検査において転移性肝腫瘍は,腫瘍の形状は円形で境界は明瞭であることが多いが,不整形で境界が不明瞭の場合もある.内部エコー輝度は原発巣の特徴を反映してさまざまなエコーレベルを呈する.1cm以下の腫瘍では低エコー結節が多い.胃・大腸癌などの粘液が産生される場合は石灰化を呈する場合がある.肝内に多発する腫瘍性病変を認めた場合はまずは転移性肝腫瘍を疑うことが必要である.多発する場合に腫瘍が集簇・融合して一塊となり,分葉状を呈するcluster signを認めることがある.肝血管腫は腫瘍の形状は小さなものは類円形が多いが,大きなものは不整形もあるが境界は明瞭である.内部エコー輝度は低,高エコー結節から低・高エコーが混在するものがあり,辺縁に高エコー帯(marginal strongecho)を有する腫瘍もある.径2cm以下では90%以上が高エコー腫瘍に描出されるが,2cmを超えると低・高エコー混在の腫瘍が多く描出される.

 本稿では,肝臓内の高エコー腫瘍における転移性肝腫瘍と肝血管腫の鑑別について解説する.

参考文献

1)Yamamoto K, Shiraki K, Nakanishi S, et al:The usefulness of digital subtraction imaging with Levovist in the diagnosis of focal hepatic tumors. Int J Oncol 22:353-358,2003
2)山本幸治:肝腫瘤に対するソナゾイド造影超音波検査の基礎と応用 第1回 造影超音波検査の基礎.超音波検技 38:396-403,2013
3)丸山憲一(編著):肝臓・脾臓.これから始める腹部エコー プローブ走査と描出のコツ,注目すべき所見をおさえる(八鍬恒芳,工藤岳秀,三塚幸夫著),メジカルビュー社,pp87-97,2015
4)白石周一:各臓器における超音波検査の進め方.日超検 腹部超音波テキスト(日本超音波検査学会),医歯薬出版,pp99-132,2002
5)辻本文雄,松原馨,井田正博:腹部超音波テキスト 上・下腹部 改訂第三版,ベクトル・コア,2002
6)日本超音波医学会用語・診断基準委員会:肝腫瘤の超音波診断基準(案).超音波医 37:157-166,2010

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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