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文献詳細

雑誌文献

臨床検査65巻1号

2021年01月発行

文献概要

今月の特集 対比して学ぶエコー所見で鑑別に悩む疾患

精巣:セミノーマと類表皮囊腫

著者: 河本敦夫1

所属機関: 1東京医科大学病院画像診断部

ページ範囲:P.69 - P.73

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はじめに

 精巣腫瘍のほとんどは悪性であり,多くが思春期以降の若年男性に発症する.そのうちの90〜95%は,多方向に分化可能な生殖細胞から発生した胚細胞腫瘍で,さまざまな組織型が存在する.なかでもセミノーマは胚細胞腫瘍で最も多い組織型であり,臨床上はセミノーマと非セミノーマに大別される1)

 精巣腫瘍は進行が速いことが知られており,迅速に治療へと進む流れが標準である.病理組織診断と治療の意味を併せもつ高位精巣摘除術後に,腫瘍マーカーおよび全身画像検査で臨床病期を決定する.転移のある進行性のものには化学療法を中心とした集学的治療がなされる.

 一方,多くはないが,良性の精巣腫瘍も存在する.良性病変に対しての高位精巣摘除術は過侵襲であるため,近年では術中迅速病理診断を組み合わせた腫瘍核出術が選択される.最新の「精巣腫瘍診療ガイドライン」1)では,原発巣の診断に超音波Bモードとカラードプラでの評価の有用性が明記されている(推奨グレードA).

参考文献

1)日本泌尿器科学会(編):精巣腫瘍診療ガイドライン 2015年版 第2版,金原出版,pp1-11,2015
2)森永正二郎:精巣腫瘍取扱い規約第4版—ここが変わった!.診断病理 36:65-72,2019
3)Price EB Jr:Epidermoid cysts of the testis: a clinical and pathologic analysis of 69 cases from the testicular tumor registry. J Urol 102:708-713,1969
4)河本敦夫:陰囊内容の超音波検査.超音波医 41:665-673,2014
5)白石周一,川合健治,下野浩一,他:内部に血流シグナルを有した精巣類表皮囊胞の1例.超音波検査技術 42:200-205,2017

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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