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文献詳細

雑誌文献

臨床検査66巻1号

2022年01月発行

文献概要

今月の特集 食中毒の現状と微生物検査 〔細菌・感染型〕

サルモネラによる食中毒

著者: 小西典子1 甲斐明美2

所属機関: 1東京都健康安全研究センター微生物部 2公益社団法人日本食品衛生協会食品衛生研究所微生物試験部

ページ範囲:P.40 - P.46

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Point

●近年,サルモネラ食中毒は減少しており,2012年以降は年間50事例未満で推移している.しかし,重症化や死亡事例も報告されており,重要な食中毒起因菌であることに変わりはない.

●食中毒の原因食品としては,1990〜2000年初頭までは鶏卵が主体であったが,近年は野菜類とその加工品(野菜サラダ,あえ物),肉類,ウナギやスッポンなどさまざまとなっている.

●原因菌として多く検出される血清群はO4群,O7群,O8群,O9群である.

●菌の同定は自動同定機器によって行われることも多いが,細菌検査の基本は確実な菌の分離と同定であり,基本的な生化学的性状を知っておくことが大切である.

参考文献

1)厚生労働省:食中毒統計資料,各年
2)中村政幸,山崎裕子,志村圭子,他:日本の市販鶏卵のSalmonella Enteritidis汚染調査.食品衛生研究 63:17-23,2013
3)西脇京子,飯塚俊子,渡邊修,他:乳児サルモネラ敗血症事例—新潟県.IASR 27:203-204,2006
4)石川順一,山室美穂,外川正生,他:Salmonella enteritidisによる急性脳症の1女児例,小児感染免疫 21:207-212,2009
5)関田恒二郎,東冬彦,藤森一平:急性腎不全を合併したサルモネラ腸炎の2症例.感染症誌 52:246-251,1978
6)岡部信彦:Salmonella Enteritidisによる死亡例の報告.IASR 18,1997(https://idsc.niid.go.jp/iasr/19/216/dj2165.html)(最終アクセス:2021年9月13日)
7)国立感染症研究所:IASR速報集計表 細菌 チフス菌・パラチフスA菌ファージ型(https://www.niid.go.jp/niid/ja/iasr-table/1525-iasrb.html)(最終アクセス:2021年9月3日)
8)市川健介,西山裕之,土屋昭彦,他:生サラダが原因と推定されたチフス菌による食中毒事例—東京都.IASR 36:162-163,2015
9)The Interagency Food Safety Analytics Collaboration (IFSAC):Foodborne Illness source attribution estimates for 2018 Salmonella, Escherichia coli O157, Listeria monocytogenes, and Campylobacter using multi-year outbreak surveillance data, United States, 2020(https://www.cdc.gov/foodsafety/ifsac/pdf/P19-2018-report-TriAgency-508.pdf)(最終アクセス:2021年9月13日)
10)国立感染症研究所:チフス菌・パラチフスA菌検査・診断マニュアル(https://www.niid.go.jp/niid/images/lab-manual/typhoid_paratyphoid20200928.pdf)(最終アクセス:2021年9月13日)
11)長野則之,小穴愼二,長野由紀子,他:ミシシッピーアカミミガメ(ミドリガメ)との関連が強く疑われた小児重症サルモネラ感染症の2症例.IASR 26:342-343,2005
12)依田清江,内村眞佐子:イグアナが感染源と推定された乳児下痢症から分離されたサルモネラ.IASR 26:344-345,2005
13)薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会:薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書2020(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000717227.pdf)(最終アクセス:2021年9月13日)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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