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今月の特集 食中毒の現状と微生物検査 〔細菌・食物内毒素型・生体内毒素型〕
ウェルシュ菌による食中毒とボツリヌス症
著者: 門間千枝1
所属機関: 1東京都健康安全研究センター微生物部
ページ範囲:P.74 - P.85
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●ウェルシュ菌食中毒は,ウェルシュ菌に汚染された食品を喫食した後,ウェルシュ菌が腸管内で芽胞になる際に産生される下痢原性毒素によって発症する感染型食中毒である.
●ウェルシュ菌食中毒において原因物質として新規下痢原性毒素による事例が報告されており,また,従来の検査法では検出しにくい性状の菌による食中毒が発生している.
●わが国では“ボツリヌス食中毒”,“乳児ボツリヌス症”,“成人腸管定着ボツリヌス症”の3病型のボツリヌス症が発生している.近年は乳児ボツリヌス症の発生が多い.
●Clostridium baratiiなどボツリヌス菌以外の菌によるボツリヌス症も発生している.全ての病型のボツリヌス症において原因食品は不明であることが多い.
●ウェルシュ菌食中毒は,ウェルシュ菌に汚染された食品を喫食した後,ウェルシュ菌が腸管内で芽胞になる際に産生される下痢原性毒素によって発症する感染型食中毒である.
●ウェルシュ菌食中毒において原因物質として新規下痢原性毒素による事例が報告されており,また,従来の検査法では検出しにくい性状の菌による食中毒が発生している.
●わが国では“ボツリヌス食中毒”,“乳児ボツリヌス症”,“成人腸管定着ボツリヌス症”の3病型のボツリヌス症が発生している.近年は乳児ボツリヌス症の発生が多い.
●Clostridium baratiiなどボツリヌス菌以外の菌によるボツリヌス症も発生している.全ての病型のボツリヌス症において原因食品は不明であることが多い.
参考文献
1)門間千枝,伊藤武:Clostridium perfringens.食品由来感染症と食品微生物(仲西寿男,丸山務監),中央法規出版,pp380-400,2009
2)Shrestha A, Uzal FA, McClane BA. et al:Enterotoxic Clostridia: Clostridium perfringens enteric diseases. Microbiol Spectr 6:10.1128,2018
3)門間千枝,柳川義勢,楠淳,他:ヒトふん便から分離された耐熱性芽胞形成ウェルシュ菌の血清型とエンテロトキシン産生性について.東京衛研年報 45:11-15,1994
4)Monma C, Hatakeyama K, Obata H, et al:Four foodborne disease outbreaks caused by a new type of enterotoxin-producing Clostridium perfringens. J Clin Microbiol 53:859-867,2015
5)Irikura D, Monma C, Suzuki Y, et al:Identification and characterization of a new enterotoxin produced by Clostridium perfringens isolated from food poisoning outbreaks. PLoS One 10:e0138183,2015
6)門間千枝:ウェルシュ菌食中毒.食衛研 69:21-36,2019
7)門間千枝,原田幸子,赤瀬悟,他:カナマイシン含有培地使用では検出不可能なウェルシュ菌による集団下痢症事例—東京都.IASR 38:130-131,2017
8)門間千枝,尾畑浩魅,原田幸子,他:ハチミツが原因と推定された乳児ボツリヌス症食中毒事例.第38回日本食品微生物学会総会抄録集,日本食品微生物学会,p79,2017
9)国立感染症研究所:病原体検出マニュアル ボツリヌス症(2012年12月版)(https://www.niid.go.jp/niid/images/lab-manual/botulism121207.pdf)(最終アクセス:2021年8月15日)
10)Rao AK, Sobel J, Chatham-Stephens K, et al:Clinical guidelines for diagnosis and treatment of botulism, 2021. MMWR Recomm Rep 70:1-30,2021
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