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今月の特集 食中毒の現状と微生物検査 〔寄生虫〕
クドア,サルコシスティスによる食中毒
著者: 中村(内山)ふくみ1
所属機関: 1東京都立墨東病院感染症科
ページ範囲:P.98 - P.103
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●嘔吐・下痢症状が一過性かつ軽症で終わる食中毒では,クドアやサルコシスティスによるものを考える.
●クドア食中毒はヒラメに寄生するKudoa septempunctataによるものが典型的であるが,それ以外の魚介類に寄生するK. septempunctata,あるいは他の粘液胞子虫類が原因のこともある.
●サルコシスティス食中毒はウマに寄生するSarcocystis fayeriによるものが典型的であるが,シカ,ウシ,ブタに寄生するサルコシスティスが原因のこともある.
●診断には具体的な食歴を聴取し,想定される病因物質を検出するために適切な検査を行うことが重要である.
●嘔吐・下痢症状が一過性かつ軽症で終わる食中毒では,クドアやサルコシスティスによるものを考える.
●クドア食中毒はヒラメに寄生するKudoa septempunctataによるものが典型的であるが,それ以外の魚介類に寄生するK. septempunctata,あるいは他の粘液胞子虫類が原因のこともある.
●サルコシスティス食中毒はウマに寄生するSarcocystis fayeriによるものが典型的であるが,シカ,ウシ,ブタに寄生するサルコシスティスが原因のこともある.
●診断には具体的な食歴を聴取し,想定される病因物質を検出するために適切な検査を行うことが重要である.
参考文献
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12)厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部監視安全課長:Sarcocystis fayeriの検査法について(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000125127.pdf)(最終アクセス:2021年10月27日)
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14)青木佳代,林正宗,河野智美,他:シカ肉のあぶりが原因と推定された有症事例.日食微生物会誌 34:166-169,2017
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