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今月の特集2 血液凝固を阻害するもの
凝固第Ⅷ因子インヒビター
著者: 天野景裕1
所属機関: 1東京医科大学医学部医学科臨床検査医学分野/血液凝固異常症遺伝子研究寄附講座
ページ範囲:P.182 - P.187
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●先天性血友病Aインヒビター発生のリスクファクターには遺伝子的要因,環境要因,治療要因などが複雑に関係している.血友病Aの原因遺伝子異常を確認しておくことは重要である.
●第Ⅷ因子擬態製剤であるemicizumab(エミシズマブ)投与患者の血漿検体では,エミシズマブが第Ⅷ因子(FⅧ)と異なり不活化されないため,活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)が著明に短縮をきたすことに注意が必要である.
●凝固第Ⅷ因子インヒビターはタイプ1とタイプ2インヒビターに分類される.先天性血友病Aインヒビターではタイプ1,後天性血友病Aではタイプ2であることが多い.
●凝固第Ⅷ因子インヒビター存在下では,凝固一段法によるFⅧ活性測定は患者の出血傾向を必ずしも表現できないため,包括的凝固能検査の活用が重要である.
●先天性血友病Aインヒビター発生のリスクファクターには遺伝子的要因,環境要因,治療要因などが複雑に関係している.血友病Aの原因遺伝子異常を確認しておくことは重要である.
●第Ⅷ因子擬態製剤であるemicizumab(エミシズマブ)投与患者の血漿検体では,エミシズマブが第Ⅷ因子(FⅧ)と異なり不活化されないため,活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)が著明に短縮をきたすことに注意が必要である.
●凝固第Ⅷ因子インヒビターはタイプ1とタイプ2インヒビターに分類される.先天性血友病Aインヒビターではタイプ1,後天性血友病Aではタイプ2であることが多い.
●凝固第Ⅷ因子インヒビター存在下では,凝固一段法によるFⅧ活性測定は患者の出血傾向を必ずしも表現できないため,包括的凝固能検査の活用が重要である.
参考文献
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