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文献詳細

雑誌文献

臨床検査66巻2号

2022年02月発行

文献概要

今月の特集2 血液凝固を阻害するもの

自己免疫性凝固第Ⅴ因子インヒビター

著者: 小川孔幸1

所属機関: 1群馬大学医学部附属病院血液内科

ページ範囲:P.188 - P.192

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Point

●自己免疫性凝固第Ⅴ因子(FⅤ)インヒビター(自己免疫性凝固第Ⅴ/5因子欠乏症.AiF5D)は希少疾病ではあるが,近年のわが国においては増加傾向にある.非専門医への疾患啓発と診療の均てん化が重要になってきている.

●AiF5Dの臨床症状は無症状から致死的出血をきたす症例まで多彩である.さらに血栓症をきたす症例も存在するため,出血と血栓の両面への注意を要する.

●AiF5Dは一過性で自然治癒する症例も存在するため,重篤な出血症状を呈する症例や出血リスクが高い症例に限り,自己抗体の根絶を目的とした免疫抑制療法を実施する.

●AiF5Dは自己免疫性凝固因子欠乏症の1分疾患として指定難病(288番)に認定されており,医療費助成の対象である.

参考文献

1)小川孔幸:その他の後天性凝固因子欠乏症の診断と治療.日血栓止血会誌 29:714-718,2018
2)Franchini M, Lippi G:Acquired factor V inhibitors: a systematic review. J Thromb Thrombolysis 31:449-457,2011
3)Wang X, Qin X, Yu Y, et al:Acquired factor V deficiency in a patient with a urinary tract infection presenting with haematuria followed by multiple haemorrhages with an extremely low level of factor V inhibitor: a case report and review of the literature. Blood Coagul Fibrinolysis 28:334-341,2017
4)一瀬白帝(研究者代表):厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業 自己免疫性出血症治療の『均てん化』のための実態調査と『総合的』診療指針の作成 研究班(http://square.umin.ac.jp/kintenka/index.html)(最終アクセス:2021年10月27日)
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8)野上恵嗣:後天性凝固因子インヒビター.臨血 56:160-168,2015
9)松本彬,小川孔幸,尾崎司,他:血液透析導入後早期に発症した自己免疫性凝固第Ⅴ/5因子欠乏症の管理.臨血 61:445-450,2020
10)Kadohira Y, Yamada S, Hayashi T, et al:A discrepancy between prothrombin time and Normotest (Hepaplastintest) results is useful for diagnosis of acquired factor V inhibitors. Int J Hematol 108:145-150,2018
11)後天性血友病A 診療ガイドライン作成委員会:後天性血友病A診療ガイドライン2017年改訂版.日血栓止血会誌 28:715-747,2017

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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