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増大号 計測する項目と記録断面がわかる! 病態別・類似疾患別心エコー検査のルーティン 各論(心エコー類似所見別または病態別) 1章 弁膜疾患
僧帽弁狭窄症
著者: 玉井佑里恵1
所属機関: 1国立研究開発法人国立循環器病研究センター臨床検査部
ページ範囲:P.374 - P.381
文献購入ページに移動僧帽弁狭窄症(mitral valve stenosis:MS)は,弁狭窄により左房から左室への血流の流入が障害される疾患である.MSの主病因はリウマチ熱の罹患によるリウマチ性MSで,約80%の患者は女性である1).しかしながら,わが国を含めた先進国では抗菌薬の普及によってリウマチ性MSに遭遇する機会は減少している.一方で,高齢者や透析患者でみられる僧帽弁輪石灰化による非リウマチ性(退行性)MSが増加している.その他,まれではあるが先天性の僧帽弁形態異常に伴うものがある.身体所見としては,Ⅰ音の亢進,肥厚・硬化した僧帽弁が開放することによって生じる拡張早期の高調な僧帽弁開放音,心尖部で低調な拡張期ランブルを聴取するが,狭窄が進行し弁の可動性が著しく低下すると僧帽弁開放音は消失する(silent MS).心電図では,左房負荷を反映したⅠ・Ⅱ誘導における二峰性の幅広いP波(僧帽性P波),V1誘導での幅広い陰性P波,心房細動などの所見がみられる.
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