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増大号 計測する項目と記録断面がわかる! 病態別・類似疾患別心エコー検査のルーティン 各論(心エコー類似所見別または病態別) 9章 先天性疾患
房室中隔欠損症(AVSD)
著者: 小谷敦志1
所属機関: 1近畿大学奈良病院臨床検査部
ページ範囲:P.560 - P.564
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房室中隔欠損症(atrio-ventricular septal defect:AVSD)は心内膜床欠損(endocarpdial cushion defect:ECD)や共通房室弁口などと呼称されてきたが,現在ではAVSDに統一されている.AVSDは,僧帽弁と三尖弁が5つの弁葉によって形成される共通房室弁であり,房室弁が付着する心房心室中隔組織の欠損を伴う.形態によって完全型と不完全型に分類され,完全型のほうが不完全型よりも多い.Down症候群の約40%が先天性心疾患を合併し,それらの40%は完全型である.完全型の場合,房室弁逆流,肺高血圧症などにより長期生存は困難ため,成人の心エコー検査で初めて発見されるAVSDは不完全型がほとんどである.心電図では刺激伝導路の欠損による心房粗細動,房室ブロックを認めるが,心房中隔欠損症(atrial septal defect:ASD)と異なり左軸偏位を認めることが特徴的である.
房室中隔欠損症(atrio-ventricular septal defect:AVSD)は心内膜床欠損(endocarpdial cushion defect:ECD)や共通房室弁口などと呼称されてきたが,現在ではAVSDに統一されている.AVSDは,僧帽弁と三尖弁が5つの弁葉によって形成される共通房室弁であり,房室弁が付着する心房心室中隔組織の欠損を伴う.形態によって完全型と不完全型に分類され,完全型のほうが不完全型よりも多い.Down症候群の約40%が先天性心疾患を合併し,それらの40%は完全型である.完全型の場合,房室弁逆流,肺高血圧症などにより長期生存は困難ため,成人の心エコー検査で初めて発見されるAVSDは不完全型がほとんどである.心電図では刺激伝導路の欠損による心房粗細動,房室ブロックを認めるが,心房中隔欠損症(atrial septal defect:ASD)と異なり左軸偏位を認めることが特徴的である.
参考文献
1)日本循環器学会,日本胸部外科学会,日本産科婦人科学会,他:2015-2016年度活動 成人先天性心疾患診療ガイドライン(2017年改訂版),2018(https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/02/JCS2017_ichida_h.pdf)(最終アクセス:2022年1月15日)
2)日本循環器学会,日本移植学会,日本胸部外科学会,他:2017-2018年度活動 先天性心疾患並びに小児期心疾患の診断検査と薬物療法ガイドライン(2018年改訂版),2019(https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/02/JCS2018_Yasukochi.pdf)(最終アクセス:2022年1月15日)
3)中澤誠(編):先天性心疾患,メジカルビュー社,2014
4)Cetta F:Atrioventricular septal defects. In: Moss and Adams' Heart Disease in Infants, Children and Adolescents, Including the Fetus and Young Adult, 7th ed (Allen HD, Driscoll DJ, Shaddy RE, et al, eds), Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia, pp646-667, 2007
Allen HD, Phillips JR, Chan DP. Chapter 8: History and Physical Examination. Moss and Adams' Heart Disease in Infants, Children and Adolescents, Including the Fetus and Young Adult, 7th Edition.Philadelphia; Lippincott, Williams & Wilkins, 2008.
5)Becker AE, Anderson RH:Atrioventricular septal defects: What's in a name?. J Thorac Cardiovasc Surg 83:461-469,1982
6)Wakai CS, Edwards JE:Pathologic study of persistent common atrioventricular canal. Am Heart J 56:779-794,1958
7)Blieden LC, Randall PA, Castaneda AR, et al:The “goose neck” of the endocardial cushion defect: anatomic basis. Chest 65:13-17,1974
8)Rastelli G, Kirklin JW, Titus JL:Anatomic observations on complete form of persistent common atrioventricular canal with special reference to atrioventricular valves. Mayo Clin Proc 41:296-308,1966
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