文献詳細
文献概要
WITHコロナにおける検査室の感染対策・6
呼吸機能検査における感染対策
著者: 藤澤義久1
所属機関: 1滋賀医科大学医学部附属病院検査部
ページ範囲:P.877 - P.881
文献購入ページに移動はじめに
2019年に発生が確認され,その後,急速に世界中に広がった新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019:以下,COVID-19)は国内においても収束と拡大を繰り返している.本稿を執筆している2022年4月現在は変異株が猛威を振るい,いまだ終息の兆しがみえない状況にある.これまでにない状況を受けて,各臨床の現場では,的確な答えがないまま手探りで標準予防策(standard precautions)と感染経路別予防策(transmission-based precautions)を順守し(表1),さまざまな対策を行って各マニュアルの見直しが行われてきた.
生理検査部門は直接,また長時間,患者と接することから検査担当者の感染リスクが高い.また,検者自体が媒介となって院内感染を引き起こす可能性もある.特に呼吸機能検査は患者がマスクを外し,深呼吸や強制呼出などを必要とする検査のため,周囲へのエアロゾルの拡散が生じ,感染リスクが高い検査である.このことから,2020年3月に日本呼吸器学会から,また同年4月に日本呼吸器外科学会から,不急の呼吸機能検査の中止・延期を含めた提言1,2)があった.これによって,各施設の判断で術前の呼吸機能検査を含む不要不急の検査は縮小するなどの対応がとられた.
本稿では,呼吸機能検査を実施するための適切な感染対策と,検査環境整備についての取り組みを紹介する.今後,新たな知見が得られるにつれて方針も変わっていくため,日々アップデートしていく必要がある.
2019年に発生が確認され,その後,急速に世界中に広がった新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019:以下,COVID-19)は国内においても収束と拡大を繰り返している.本稿を執筆している2022年4月現在は変異株が猛威を振るい,いまだ終息の兆しがみえない状況にある.これまでにない状況を受けて,各臨床の現場では,的確な答えがないまま手探りで標準予防策(standard precautions)と感染経路別予防策(transmission-based precautions)を順守し(表1),さまざまな対策を行って各マニュアルの見直しが行われてきた.
生理検査部門は直接,また長時間,患者と接することから検査担当者の感染リスクが高い.また,検者自体が媒介となって院内感染を引き起こす可能性もある.特に呼吸機能検査は患者がマスクを外し,深呼吸や強制呼出などを必要とする検査のため,周囲へのエアロゾルの拡散が生じ,感染リスクが高い検査である.このことから,2020年3月に日本呼吸器学会から,また同年4月に日本呼吸器外科学会から,不急の呼吸機能検査の中止・延期を含めた提言1,2)があった.これによって,各施設の判断で術前の呼吸機能検査を含む不要不急の検査は縮小するなどの対応がとられた.
本稿では,呼吸機能検査を実施するための適切な感染対策と,検査環境整備についての取り組みを紹介する.今後,新たな知見が得られるにつれて方針も変わっていくため,日々アップデートしていく必要がある.
参考文献
1)日本呼吸器学会:新型コロナウイルス感染症流行期における呼吸機能検査の実施について,2020(https://www.jrs.or.jp/covid19/file/20200327_statement.pdf)(最終アクセス:2022年4月11日)
2)日本呼吸器外科学会:COVID-19感染流行期における呼吸器外科手術の術前肺機能(スパイロメトリー)検査に関する提言,2020(http://www.jacsurg.gr.jp/info/archives/news202004_12.html)(最終アクセス:2022年3月29日)
3)Rutala WA:APIC guideline for selection and use of disinfectants. 1994, 1995, and 1996 APIC Guidelines Committee. Association for Professionals in Infection Control and Epidemiology, Inc. Am J Infect Control 24:313-342,1996
4)日本呼吸器学会肺生理専門委員会呼吸機能検査ハンドブック作成委員会(編):呼吸機能検査ハンドブック,メディカルレビュー社,2021
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