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今月の特集2 医療従事者のためのワクチン接種アップデート
麻疹・風疹ワクチン
著者: 森野紗衣子1
所属機関: 1国立感染症研究所感染症疫学センター
ページ範囲:P.940 - P.947
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●麻疹,風疹ともに,近年の流行の中心はワクチン接種歴“なし”もしくは“不明”の成人へ変化している.加えて,流行するとワクチン接種前の1歳以下の児の罹患が多く報告される.
●いずれも有効な抗ウイルス薬がなく,時に重症な合併症を起こしたり,妊婦への感染で流産や先天性風疹症候群(CRS)など次世代への影響を及ぼしたりすることがある感染症である.
●1歳以上で2回のワクチン接種が推奨される.定期接種対象者をはじめ,“接種歴なし”あるいは“不明”の場合はワクチンによる積極的な予防の検討が望まれる.
●麻疹,風疹ともに標準予防策,飛沫感染対策,接触感染対策のみでの感染予防は困難であるが,ワクチンで予防可能な疾患であり,世界で排除が目指されている.
●麻疹,風疹ともに,近年の流行の中心はワクチン接種歴“なし”もしくは“不明”の成人へ変化している.加えて,流行するとワクチン接種前の1歳以下の児の罹患が多く報告される.
●いずれも有効な抗ウイルス薬がなく,時に重症な合併症を起こしたり,妊婦への感染で流産や先天性風疹症候群(CRS)など次世代への影響を及ぼしたりすることがある感染症である.
●1歳以上で2回のワクチン接種が推奨される.定期接種対象者をはじめ,“接種歴なし”あるいは“不明”の場合はワクチンによる積極的な予防の検討が望まれる.
●麻疹,風疹ともに標準予防策,飛沫感染対策,接触感染対策のみでの感染予防は困難であるが,ワクチンで予防可能な疾患であり,世界で排除が目指されている.
参考文献
1)厚生労働省:麻しんに関する特定感染症予防指針 平成19年12月28日(平成28年2月3日一部改正・平成28年4月1日適用)(平成31年4月19日一部改正・適用),2019(https://www.mhlw.go.jp/content/000503060.pdf)(最終アクセス:2022年4月18日)
2)厚生労働省:風しんに関する特定感染症予防指針 平成26年3月28日(平成29年12月21日一部改正・平成30年1月1日適用),2018(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000186690.pdf)(最終アクセス:2022年4月18日)
3)厚生労働省:風しんに関する追加的対策 骨子 平成30年12月13日,2018(https://www.mhlw.go.jp/content/000474416.pdf)(最終アクセス:2022年4月18日)
4)厚生労働省健康局結核感染症課,国立感染症研究所感染症疫学センター:感染症発生動向調査事業年報 2020年(令和2年)確定報告データ(https://www.niid.go.jp/niid/ja/allarticles/surveillance/2270-idwr/nenpou/10904-idwr-nenpo2020.html)(最終アクセス:2022年5月18日)
5)国立感染症研究所:麻疹 発生動向状況 速報グラフ更新履歴 2021年 速報データ(https://www.niid.go.jp/niid/ja/hassei/1838-measles-sokuhou-rireki.html)(最終アクセス:2022年5月18日)
6)国立感染症研究所:風疹 発生動向調査 速報グラフ更新履歴 2021年 速報データ(https://www.niid.go.jp/niid/ja/hassei/3086-rubella-sokuhou-rireki.html)(最終アクセス:2022年5月18日)
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8)国立感染症研究所感染症疫学センター:麻疹 感染症発生動向調査 速報グラフ 2019年第52週(2020年1月8日現在)(https://www.niid.go.jp/niid//images/idsc/disease/measles/2019pdf/meas19-52.pdf)(最終アクセス:2022年4月18日)
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12)厚生労働省健康局結核感染症課,国立感染症研究所感染症疫学センター:感染症発生動向調査事業年報 2019年(令和元年)確定報告データ(https://www.niid.go.jp/niid/ja/allarticles/surveillance/2270-idwr/nenpou/10115-idwr-nenpo2019.html)(最終アクセス:2022年5月18日)
13)国立感染症研究所:年齢/年齢群別の風疹抗体保有状況,2019年〜2019年度感染症流行予測調査より〜(https://www.niid.go.jp/niid/ja/y-graphs/8794-rubella-yosoku-serum2019.html)(最終アクセス:2022年5月18日)
14)国立感染症研究所:病原体検出マニュアル 麻疹(第3.4版)平成29年4月(https://www.niid.go.jp/niid/images/lab-manual/measles.v3-4.2017Mar.pdf)(最終アクセス:2022年4月18日)
15)森嘉生,大槻紀之,岡本貴世子,他:風疹の検査法.IASR 39:35-36,2018(https://www.niid.go.jp/niid/ja/allarticles/surveillance/2428-iasr/related-articles/related-articles-457/7908-457r04.html)(最終アクセス:2022年4月18日)
16)寺田喜平,森嘉生:風しんワクチン.ワクチン 基礎から臨床まで(日本ワクチン学会編),朝倉書店,pp136-146,2018
17)厚生労働省:国立感染症研究所感染症疫学センター;令和2年度麻しん風しん定期予防接種の実施状況の調査結果について(https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ma/655-measles/idsc/10806-01-2020.html)(最終アクセス:2022年4月18日)
18)国立感染症研究所ウイルス第三部/感染症疫学センター:風しんの第5期定期予防接種に関する風疹HI抗体価(1:8以下)の読み替え等に関する検討(2022年1月)(https://www.niid.go.jp/niid/images/idsc/disease/rubella/Rubella-HItiter8_Ver4.pdf)(最終アクセス:2022年4月18日)
19)日本環境感染学会ワクチン委員会:医療関係者のためのワクチンガイドライン 第3版(http://www.kankyokansen.org/uploads/uploads/files/jsipc/vaccine-guideline_03(4).pdf)(最終アクセス:2022年5月18日)
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