臨床検査66巻8号

2022年08月発行

WITHコロナにおける検査室の感染対策・7

病理検査関連における感染対策

著者： 青木裕志¹ 外山志帆² 飯野瑞貴²

所属機関： ¹順天堂大学医学部附属練馬病院病理診断科（現　順天堂大学医学部人体病理病態学講座） ²順天堂大学医学部附属練馬病院病理診断科

ページ範囲：P.982 - P.986

はじめに

　新型コロナウイルス（以下，SARS-CoV-2）による感染症（coronavirus disease 2019．以下，COVID-19）の広がりは，われわれの日常生活のみならず，検査業務や検査体制においても大きな変化をもたらした．

　従来の感染対策は，検査材料からスタッフへの感染を想定した対策が主体であった．一方，COVID-19パンデミックにおいては，検査材料のみならず検体容器に付着したウイルスによる感染への対応に加え，万が一スタッフが感染した場合やスタッフが外で感染したウイルスを検査室内に持ち込んだ場合も想定した幅広い対応が求められるようになった．あるべき感染対策や作業手順が十分に定まらないなかで，試行錯誤を繰り返しながら感染の波を乗り越え，日々の検査業務の維持に苦労された施設は多いと思われる．

　本稿では，COVID-19パンデミックを経験し，その対応を通して得られた知見として，順天堂大学医学部附属練馬病院の病理検査室におけるCOVID-19パンデミック以前と以後の感染対策の違いや課題について述べる．

参考文献

1）倉田毅，佐多徹太郎：剖検介助と業務感染．Med Technol　16：972-977，1988

2）升田隆雄，五十川豊治：臨床検査におけるバイオハザード．感染症誌　65：209-214，1991

3）プリオン病のサーベイランスと感染予防に関する調査研究班，日本神経学会：プリオン病感染予防ガイドライン2020（https://minds.jcqhc.or.jp/docs/gl_pdf/G0001176/4/infection_control_of_prion_disorder.pdf）（最終アクセス：2022年5月6日）

4）プリオン病のサーベイランスと感染予防に関する調査研究班，日本神経病理学会プリオン病剖検・病理検査推進委員会：プリオン病の剖検マニュアル　第2版，2017（http://prion.umin.jp/file/prion_autopsy_manual.pdf）（最終アクセス：2022年5月6日）

5）坂平憲二，古橋正吉：臨床検査技師に必要な消毒薬の知識．Med Technol　16：997-1000，1988

6）長村義之（監訳）：COVID-19パンデミック発生状況下における病理検体（組織・細胞）の取扱い：CAPの指針，2020（https://pathology.or.jp/news/200427_2_cap.pdf）（最終アクセス：2022年5月6日）

7）長村義之（監訳）：CAP病理解剖委員会によるCOVID-19病理解剖ガイドラインに関する声明（米国時間：2020年4月9日）（https://pathology.or.jp/news/pdf/CAP20200511.pdf）（最終アクセス：2022年6月2日）

8）日本病理学会：術中迅速病理標本作製・病理診断および病理組織未固定検体，細胞診検体の取り扱いについて—新型コロナウイルス関連—（日本病理学会　2020年5月27日）（https://pathology.or.jp/news/iryou-gyoumu/20200527info-1.html）（最終アクセス：2022年5月6日）

9）日本臨床細胞学会：新型コロナウイルスと喀痰細胞診の取扱いについて，2020（http://jscc.or.jp/wp-content/themes/jscc/osirase01/2020/喀痰細胞診の取扱いについて.pdf）（最終アクセス：2022年5月6日）

10）World Health Organization (WHO)：Laboratory biosafety guidance related to coronavirus disease (COVID-19)，2020（https://www.who.int/publications/i/item/laboratory-biosafety-guidance-related-to-coronavirus-disease-(covid-19)）（最終アクセス：2022年5月6日）

11）国立感染症研究所感染病理部：COVID-19症例の剖検プロトコル（2020/2/25版）（日本臨床衛生検査技師会，会員専用ページより）

12）Wang W, Xu Y, Gao R, et al：Detection of SARS-CoV-2 in Different Types of Clinical Specimens. JAMA　323：1843-1844，2020

13）厚生労働省：新型コロナウイルス感染症 陽性だった場合の療養解除について（https://www.mhlw.go.jp/content/000928216.pdf）（最終アクセス：2022年6月2日）

14）厚生労働省：新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について（https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/syoudoku_00001.html）（最終アクセス：2022年5月6日）

15）Kitagawa H, Nomura T, Nazmul T, et al：Effectiveness of 222-nm ultraviolet light on disinfecting SARS-CoV-2 surface contamination. Am J Infect Control　49：299-301，2021

16）堤寛：結核のバイオハザード対策．医のあゆみ　198：213-219，2001

17）国立感染症研究所感染病理部：新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の剖検における感染予防策（2020年2月19日）（日本臨床衛生検査技師会，会員専用ページより）

18）国立感染症研究所感染病理部：新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の剖検における感染予防策補足資料（日本臨床衛生検査技師会，会員専用ページより）

19）国立感染症研究所感染病理部：COVID-19死亡例における死後組織検体の検査について（2020年5月28日版）（https://www.niid.go.jp/niid/images/pathol/pdf/covid19-20-200528.pdf）（最終アクセス：2022年5月6日）

20）浅見英一，比島恒和：COVID-19剖検時の感染対策—コロナ禍における病理解剖と解剖—（https://www.sasappa.co.jp/jsht/program105-4/）（最終アクセス：2022年4月6日）