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増大号 肝疾患 臨床検査でどう迫る? 1章 肝関連検査の見方
肝癌の腫瘍マーカー
著者: 熊田卓1 腰山裕一2 安田諭2 豊田秀徳2
所属機関: 1岐阜協立大学看護学部 2大垣市民病院消化器内科
ページ範囲:P.1058 - P.1063
文献購入ページに移動肝細胞癌(hepatocellular carcinoma:HCC)の代表的腫瘍マーカーには,αフェトプロテイン(α-fetoprotein:AFP)1),AFP-L3分画(レンズマメレクチン結合性AFP)1,2)およびDCP〔des-γ-carboxy prothrombin.PIVKA-Ⅱ(protein induced by vitamin K absence or antagonist-Ⅱ)とも呼ばれるが本稿ではDCPに統一した〕3,4)の3種類がある.AFPとDCP両者の同時測定が保険制度上で認められており,HCCの補助診断として広く使用されている.AFP-L3分画の測定は現行保険上では地域によって解釈が異なるが,原則HCCの可能性が強く疑われるときにのみ算定される.「肝癌診療ガイドライン2021年版」5)においてはCQ2「肝細胞癌の診断に有用な腫瘍マーカーは何か?」において,「1.肝細胞癌の補助診断に有用な腫瘍マーカーとして,AFP,DCP(PIVKA-Ⅱ),AFP-L3分画を推奨する(強い推奨,エビデンスの強さA),2.小肝細胞癌の診断においては2種以上の腫瘍マーカーを測定することを推奨する(強い推奨,エビデンスの強さA)」と述べられている.
腫瘍マーカーに求められるのは,①存在診断〔早期診断,進展度診断(Stage分類)〕,②質的診断(鑑別診断,悪性度診断),③治療効果判定・再発診断の3点である.これらを全て満たす腫瘍マーカーは現在のところ存在しない.3種類の腫瘍マーカーを効果的に組み合わせることによりその診断率は向上すると考えられ,本稿では筆者らのデータを示しながら解説する.
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