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増大号 肝疾患 臨床検査でどう迫る? 3章 慢性の肝疾患
病理検体を用いた肝線維化評価
著者: 山内直子12
所属機関: 1旭中央病院遠隔病理診断センター 2旭中央病院附属病理診断科診療所
ページ範囲:P.1104 - P.1110
文献購入ページに移動病理検体として日常的に提出される肝臓の検体には,主として肝針生検検体と手術検体があり,びまん性肝疾患や肝結節性病変の病理診断が行われている.肝臓の病態の評価には肝針生検検体を用いた病理診断が非常に有用であるが,びまん性肝疾患の病変は肝内で不均一であることも多く,それに対して肝針生検で得られる組織は肝全体に比べて微小な一部分である.そのため,必ずしも全体像が反映されていない可能性,すなわちサンプリングエラー問題への考慮も必要である.小さな組織から患者にとって最大限の情報を得られるように適切な特殊染色も併用しつつ病理診断が行われている(図1).通常のヘマトキシリン-エオジン(hematoxylin-eosin:HE)染色だけでなく,鍍銀染色,EVG(Elastica van Gieson)染色,Azan-Mallory染色またはMasson trichrome染色なども施行して,肝臓の構造や線維化の評価を行っている.また,過ヨウ素酸シッフ(periodic acid Schiff:PAS)染色,ジアスターゼ処理後PAS(diastase PAS:dPAS)染色,鉄染色などの特殊染色も目的に応じて施行されている.
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