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文献詳細

雑誌文献

臨床検査67巻3号

2023年03月発行

文献概要

今月の特集2 臨床検査で患者を救え!—知っておいてほしい疾患

重度で長期の甲状腺機能低下症

著者: 越智可奈子12 中野靖浩2 原田洸2 長谷川功2 大塚文男2

所属機関: 1岡山大学学術研究院医歯薬学域医療教育センター 2岡山大学学術研究院医歯薬学域総合内科学

ページ範囲:P.246 - P.253

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はじめに—症例の背景

 甲状腺機能低下症は,体内において甲状腺ホルモンの作用が低下した病態であり,原因はさまざまであるが(表1)1),慢性甲状腺炎(橋本病)をはじめとした甲状腺機能低下症は頻度が比較的高く(0.24〜0.69%)2),日常診療でも遭遇する機会の多い疾患である.甲状腺機能低下症は慢性的な経過をたどることが多く,また,自覚症状も非特異的なものが多いため,本症を疑って検査を行わなければ診断に至らないことも多い.

 甲状腺機能低下症の症例は,適切な治療介入を行えば良好な経過をたどるものがほとんどではある.しかし,甲状腺機能低下症のなかにはまれではあるが重症化および全身状態の急激な悪化を認める病態がある.本稿で症例を提示して概説する.

参考文献

1)藤実彰一:甲状腺機能低下症.内分泌代謝専門医研修ガイドブック(日本内分泌学会編),診断と治療社,pp290-299,2018
2)松本俊一,中島康代,山田正信:甲状腺機能低下症.内科学書 改訂第9版 Vol.5 内分泌代謝疾患/代謝・栄養疾患(南学正臣総編),中山書店,pp83-93,2019
3)Harada K, Murakami S, Tokumasu K, et al:Myxedema coma accompanied by sick sinus syndrome and hypoventilation: A case report. J Gen Fam Med 20:206-208,2019
4)日本甲状腺学会:甲状腺疾患診断ガイドライン2013(http://www.japanthyroid.jp/doctor/guideline/japanese.html)(最終アクセス:2022年11月22日)
5)大塚文男,長谷川功:橋本病:レボチロキシンの使い方.General Mindで攻める 総合内科で診る内分泌疾患(大塚文男編),中外医学社,pp251-254,2020
6)Ono Y, Ono S, Yasunaga H, et al:Clinical characteristics and outcomes of myxedema coma: Analysis of a national inpatient database in Japan. J Epidemiol 27:117-122,2017
7)木下祐加:粘液水腫と粘液水腫性昏睡.虎の門病院 内分泌クリニカルプラクティス—外来・入院からフォローアップまで(竹内靖博,竹下彰,辰島啓太編),クリニコ出版,pp216-220,2020
8)日本甲状腺学会粘液水腫性昏睡の診断基準と治療指針の作成委員会:粘液水腫性昏睡の診断基準(3次案),日本甲状腺学会,2010
9)Rodríguez I, Fluiters E, Pérez-Méndez LF, et al:Factors associated with mortality of patients with myxoedema coma: prospective study in 11 cases treated in a single institution. J Endocrinol 180:347-350,2004
10)青木千枝,笠井貴久男:甲状腺粘液水腫性昏睡の診断と治療.日臨 70:1995-1999,2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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