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文献詳細

雑誌文献

臨床検査67巻5号

2023年05月発行

文献概要

今月の!検査室への質問に答えます・4

HIV感染症の診断・検査のポイントについて教えてください

著者: 柳沢如樹12

所属機関: 1柳沢クリニック 2国立国際医療研究センター

ページ範囲:P.559 - P.561

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感染症疫学の変化

 新型コロナウイルス感染症の流行は感染症疫学に大きな変化をもたらした.わが国では,空気感染する代表的な感染症である麻しんは2019年に744例が報告されたが,2020年は10例,2021年は6例と激減した.同様に飛沫感染する代表的な感染症である風しんは2019年に2,309例報告されたが,2020年は101例,2021年は12例と麻しんと同様に激減した.

 一方,性感染症である梅毒は2019〜2021年はそれぞれ6,641例,5,872例,7,875例と報告数に大きな変化は認めなかったが,その後は増加し,2022年は9月までの時点ですでに約1万例が報告されている.米国では2019年にクラミジア,淋菌,梅毒の報告数が合計250万人以上と6年連続で最多を更新したが,2020年においても淋菌は前年より10%増加し,梅毒は7%増加した.これらのデータから,コロナ禍においても,性感染症を診断する頻度はコロナ禍前と大きく変わらないといえよう1,2)

参考文献

1)国立感染症研究所:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連情報(https://www.niid.go.jp/niid/ja/)(最終アクセス:2022年12月26日)
2)Centers for Disease Control and Prevention (CDC):Sexually Transmitted Diseases (STDs)(https://www.cdc.gov/std/default.htm)(最終アクセス:2022年12月26日)
3)国立感染症研究所:HIV/AIDS.IASR 43:221-223,2022(https://www.niid.go.jp/niid/ja/aids-m/aids-iasrtpc/11555-512t.html)(最終アクセス:2023年1月24日)
4)国立感染症研究所:HIV関連梅毒の特徴.IASR 36:22-23,2015(https://www.niid.go.jp/niid/ja/iasr-sp/2304-related-articles/related-articles-420/5395-dj4203.html)(最終アクセス:2023年1月24日)
5)令和3年度厚生労働行政推進調査事業費補助金エイズ対策政策研究事業HIV感染症および血友病におけるチーム医療の構築と医療水準の向上を目指した研究班:抗HIV治療ガイドライン 2022年3月(https://hiv-guidelines.jp/pdf/guideline2022.pdf)(最終アクセス:2023年1月27日)
6)日本エイズ学会,日本臨床検査医学会:診療におけるHIV-1/2感染症の診断ガイドライン2020版(日本エイズ学会・日本臨床検査医学会 標準推奨法).日エイズ会誌 23:39-43,2021(https://jaids.jp/pdf/2021/20212301/20212301039043.pdf)(最終アクセス:2023年1月27日)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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