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文献詳細

雑誌文献

臨床検査67巻9号

2023年09月発行

文献概要

今月の特集 COVID-19と臨床検査—得られた知見を今後の医療に活かす

COVID-19の臨床検査(抗原検査,各種遺伝子検査法)の留意点—主に検体採取法と検体種・遺伝子検査法の使い分け

著者: 松下一之1

所属機関: 1千葉大学医学部附属病院検査部・臨床検査科(兼)遺伝子診療部/がんゲノムセンター/超音波センター

ページ範囲:P.928 - P.935

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Point

●新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の抗原検査には,抗原定性検査,抗原定量検査がある.臨床検査では後者が使用される.各検査の特徴,その利用に関しては,「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の病原体検査の指針 第6版」にまとめられている.

●COVID-19の核酸増幅検査(NAT)(精度管理・標準化)については,日本遺伝子診療学会新型コロナウイルス感染症検査委員会編集の「はじめて新型コロナウイルス検査を行う方のために」,「病原体核酸増幅検査を行う際に知っておきたいこと」が参考になる.

●唾液中の抗原量は鼻咽頭拭い液中の抗原量と正の相関を示したが,その量比は検体によって異なっていた.検体採取は,感染症研究所などから発出されているマニュアルを参考に正しく取り扱うことが重要である.

●マルチ感染症遺伝子解析法は,迅速かつ多種類の微生物核酸の同定が可能であるため呼吸器感染症,血液培養,腸管感染,小児領域の原因不明の感染症など診断や治療における薬剤選択に必要な検査である.

参考文献

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4)日本遺伝子診療学会新型コロナウイルス感染症検査委員会(編):「はじめて新型コロナウイルス検査を行う方のために」,2021(http://www.gene-dt.jp/pdf2017/gene_COVID19test.pdf)(最終アクセス:2023年6月1日)
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21)国立感染症研究所:2019-nCoV(新型コロナウイルス)感染を疑う患者の検体採取・輸送マニュアル(2021年3月19日更新版),2021
22)国立感染症研究所:病原体検出マニュアル 2019-nCoV Ver.2.9.1 令和2年3月19日,2020
23)厚生労働省:唾液を用いたPCR検査に係る厚生労働科学研究の結果について 2020年6月30日,2020
24)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)およびインフルエンザの診断における鼻咽頭拭い液・鼻かみ鼻汁液・唾液検体を用いた迅速抗原検査の有用性の検証のための研究班:鼻腔拭い液検体を用いた新型コロナウイルス検査の有用性に関する中間報告 2020年9月15日,厚生労働省,2020
25)首相官邸:新型コロナウイルス感染症に関するこれまでの取組を踏まえた次の感染症危機に備えるための対応の方向性(令和4年6月17日,新型コロナウイルス感染症対策本部決定)(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/novel_coronavirus/th_siryou/kihon_r_040617.pdf)(最終アクセス:2023年5月3日)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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