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増大号 心電図判読のスタンダード 基本を極めて臨床で活かす! 2章 波形に注目—読み解くポイント
PR時間の異常
著者: 神田茂孝1
所属機関: 1医療法人社団岩田クリニック
ページ範囲:P.1155 - P.1160
文献購入ページに移動はじめに
PQあるいはPR時間は,洞房結節から出た電気的興奮が心房内を経て房室結節およびHis束内を通過し,心室中隔上部の脚に相当する心室筋へ至るまでの時間である.そのため房室伝導時間とも呼ばれ,そのほとんどが房室結節内通過時間で占められている.その正常範囲は120〜200msec(心電図の3〜5コマ)までであり(図1),その短縮でも延長でも異常とされる.PQあるいはPR時間の測定については,心電図上P波からQRS群がQ波で始まっていればQ波までのPQ時間であり,またQ波を認めずR波で始まっていればR波までのPR時間である.特に下壁誘導(Ⅱ・Ⅲ・aVF誘導)ではQRS群の波形にバリエーションが多く(図2),PQ時間とPR時間は双方同義であるため本稿ではPR時間と表記することとする.
PQあるいはPR時間は,洞房結節から出た電気的興奮が心房内を経て房室結節およびHis束内を通過し,心室中隔上部の脚に相当する心室筋へ至るまでの時間である.そのため房室伝導時間とも呼ばれ,そのほとんどが房室結節内通過時間で占められている.その正常範囲は120〜200msec(心電図の3〜5コマ)までであり(図1),その短縮でも延長でも異常とされる.PQあるいはPR時間の測定については,心電図上P波からQRS群がQ波で始まっていればQ波までのPQ時間であり,またQ波を認めずR波で始まっていればR波までのPR時間である.特に下壁誘導(Ⅱ・Ⅲ・aVF誘導)ではQRS群の波形にバリエーションが多く(図2),PQ時間とPR時間は双方同義であるため本稿ではPR時間と表記することとする.
参考文献
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