icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床検査68巻10号

2024年10月発行

文献概要

増大号 心電図判読のスタンダード 基本を極めて臨床で活かす! 2章 波形に注目—読み解くポイント

異常Q波とST上昇,T波増高

著者: 齋藤佑一1

所属機関: 1千葉大学医学部附属病院循環器内科

ページ範囲:P.1177 - P.1183

文献購入ページに移動
はじめに

 ST部分はQRS波の終了点からT波の開始点までの部分と定義されるもので,通常の場合,ST部分は基線に一致する.しかし,電気的興奮が心臓の各部位(心内膜側および心外膜側)でばらつく場合や,伝導遅延を伴う場合などは,ST上昇もしくは低下がみられる.ST上昇は急性心筋梗塞を代表とする,一般に緊急の対応を要する疾患を示唆する場合があり,その判読は重要である.T波は心筋が興奮から回復する時相を表すもので,通常はQRS波と同じ極性を示す.つまりT波は,aVR誘導以外では陽性(上向き)であることが一般的である(V1〜V2誘導などにおいても,病的意義なく陰性T波がみられる場合がある).T波が増高している場合にも,適切に心電図を評価できることは重要である.

 本稿では,これらの心電図所見を伴う症例を提示しながら,特徴的な心電図所見について解説する.

参考文献

1)日本循環器学会,他:2017−2018年度活動 急性冠症候群ガイドライン(2018年改訂版),2022(https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2018/11/JCS2018_kimura.pdf)(最終アクセス:2024年7月8日)
2)Kosuge M, et al:Simple and accurate electrocardiographic criteria to differentiate takotsubo cardiomyopathy from anterior acute myocardial infarction. J Am Coll Cardiol 55:2514-2516,2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?