icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床検査68巻3号

2024年03月発行

文献概要

今月の特集 こどもと臨床検査

こどもの検体検査評価で留意すること—大人との基準値の違い

著者: 山田佳之1

所属機関: 1東海大学医学部総合診療学系小児科学

ページ範囲:P.231 - P.237

文献購入ページに移動
Point

●小児の年齢に合わせた基準値の設定は難しく臨床参考範囲(CRR)を用いている.

●血液検査(血算・血液像)では3系統ともに出生直後から新生児期・乳児期早期にかけての変化が大きい.

●血液生化学検査で新生児期・乳児期早期に,肝逸脱酵素,乳酸脱水素酵素(LD),胆道系酵素,クレアチンキナーゼ(CK)は高値を示し,総タンパク,アルブミン,アミラーゼ(AMY),糖質,脂質,非タンパク窒素化合物は低値を示す.

●電解質は年齢による変動が少ない.

参考文献

1)渡邉卓(編):標準採血法ガイドライン(GP4-A3),日本臨床検査標準協議会,2019
2)菊池春人:基準範囲・臨床判断値,検査データの臨床的有用性.臨化学 47:507,2018
3)小児基準値研究班(編):日本人小児の臨床検査基準値,日本公衆衛生協会,1996
4)田中伸久,浦野一美,井田和利,他:当院患者データを用いた臨床参考範囲の設定.小児臨 63:2166-2169,2010
5)田中伸久,市川萌美,長井綾子,他:生化学的検査項目別に年齢区分を考慮した小児臨床参考範囲の設定.小児臨 67:1407-1411,2014
6)田中敏章,山下敦,市原清志:潜在基準値抽出法による小児臨床検査基準範囲の設定.日小児会誌 112:1117-1132,2008
7)萱場広之:こどもの意外な検査結果.臨研プラクティス 6:86-87,2009
8)Fish JD, Lipton JM, Lanzkowsky P:Lanzkowsky's Manual of Pediatric Hematology and Oncology, 7th ed, Academic Press,2021
9)大場康寛:新生児・未熟児の基準値.臨病理 34:633-639,1986
10)藤波彰:小児の平均血小板容積と血小板分布幅 小児正常値.日小児血液会誌 5:156-161,1991
11)飯島一誠:TP[総蛋白].小児の臨床検査基準値ポケットガイド(田中敏章編),じほう,pp34-35,2009
12)日本臨床化学会酵素・試薬専門委員会ALPプロジェクト・LDプロジェクト:ALP・LD測定法変更について 医療従事者向け ver.1.0(2019.11.21),日本臨床化学会,2019
13)秦堅佐工:小児におけるトランスアミナーゼ,ALP,GGTの正常値と生体内での役割.小児内科 48:804-808,2016
14)田中敏章:成人と異なる小児の検査基準値の考え方.薬事 54:223-228,2012
15)山田佳之:小児領域の検査のピットフォールとトピックス.日臨検医会誌 70:809-817,2022
16)村上潤,倉信奈緒美,福嶋健志:AST(GOT),ALT(GPT),ミトコンドリアAST,γ-GTP(GGT),LAP,Ch-E.小児内科 49(増刊号):158-162,2017
17)河合忠:クレアチンキナーゼと心筋マーカー.異常値の出るメカニズム 第6版(河合忠,屋形稔,伊藤喜久,他編),医学書院,pp253-257,2013
18)李知子,竹島泰弘:筋疾患.小児内科 48:846-849,2016
19)日本糖尿病・生活習慣病ヒューマンデータ学会糖尿病標準診療マニュアル作成委員会:糖尿病標準診療マニュアル2023 一般診療所・クリニック向け,日本糖尿病・生活習慣病ヒューマンデータ学会,2023
20)土橋一重:コレステロール,トリグリセライド,リポ蛋白分画,アポリポ蛋白,リポ蛋白リパーゼ.小児内科 49(増刊号):202-205,2017
21)山本さやか,山田俊幸:クレアチニンと尿素窒素.治療 103:16-20,2021
22)酒井糾,玉那覇康一郎:血液化学検査〔尿素窒素,クレアチニン,尿酸〕.小児臨 33:967-974,1980
23)小児慢性腎臓病(小児CKD)小児の「腎機能障害の診断」と「腎機能評価」の手引き編集委員会(編):小児慢性腎臓病(小児CKD) 小児の「腎機能障害の診断」と「腎機能評価」の手引き,診断と治療社,2019
24)河合忠:クレアチン,クレアチニン.異常値の出るメカニズム 第6版(河合忠,屋形稔,伊藤喜久,他編),医学書院,pp139-142,2013
25)赤塚章,崎山武志:高尿酸血症 Lesch-Nyhan症候群 痛風.小児臨 42:2865-2866,1989
26)ビタミンD診療ガイドライン策定委員会:ビタミンD欠乏性くる病・低カルシウム血症の診断の手引き,日本小児内分泌学会,2013
27)矢田純一(編):免疫不全 免疫不全症の検査.医系免疫学 改訂14版,中外医学社,pp622-625,2016
28)伊藤喜久:免疫グロブリン(IgG,IgA,IgM).異常値の出るメカニズム 第6版(河合忠,屋形稔,伊藤喜久,他編),医学書院,pp367-374,2013
29)Minegishi Y:Hyper-IgE syndrome, 2021 update. Allergol Int 70:407-414,2021
30)Mulders-Manders CM, Simon A:Hyper-IgD syndrome/mevalonate kinase deficiency: what is new?. Semin Immunopathol 37:371-376,2015
31)田中伸久,浦野一美,井田和利,他:小児専門病院における緊急異常値の設定状況.小児臨 64:997-1000,2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?