臨床検査68巻3号

2024年03月発行

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今月の特集 こどもと臨床検査

小児医療の倫理的特殊性

著者： 掛江直子¹

所属機関： ¹国立成育医療研究センター生命倫理研究室／小児慢性特定疾病情報室

ページ範囲：P.252 - P.257

Point

●小児医療では，こどもの倫理的特殊性に配慮し，こどもの自律性の尊重と代諾による保護のバランスをつねに考えなければならない．

●こどもの意思を尊重し，自律性を育むためには，こどもの理解力に合わせて丁寧な説明を行い，こども本人からアセントを取得することが重要である．

●小児医療における代諾とは，こどもに必要な行為について本人から有効な同意を得ることができない場合に，こどもに代わって同意を与え，こどもを保護する行為である．

●こどもに対する遺伝学的検査は，原則として本人が判断できるまで待つべきであるが，臨床的利益が見込まれる場合は倫理的な視点も含め慎重に検討する．

参考文献

1）Fost NC：Children and Biomedicine. In: Encyclopedia of Bioethics (Reich WT, ed), Free Press, New York，p150，1978

2）こども基本法　第1条（令和4年法律第77号）

3）日本医師会（訳）：患者の権利に関するWMAリスボン宣言（https://www.med.or.jp/doctor/international/wma/lisbon.html）（最終アクセス：2024年1月12日）

4）こども基本法（https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=504AC1000000077）（最終アクセス：2024年1月12日）

5）Presidential Commission for the Study of Bioethical Issues：Anticipate and Communicate: Ethical Management of Incidental and Secondary Findings in the Clinical, Research, and Direct-to-Consumer Contexts, 2013

6）Kalia SS, Adelman K, Bale SJ, et al：Recommendations for reporting of secondary findings in clinical exome and genome sequencing, 2016 update (ACMG SF v2.0): a policy statement of the American College of Medical Genetics and Genomics. Genet Med　19：249-255，2017