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文献詳細

雑誌文献

臨床検査68巻9号

2024年09月発行

文献概要

リレーエッセイ 私のこだわり・5

見過ごされがちなスキル「プレゼン力」

著者: 荻原真二1

所属機関: 1東邦大学医療センター大森病院臨床検査部

ページ範囲:P.1106 - P.1107

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 今回,“私のこだわり”というテーマで原稿依頼をいただきました.検査室で中堅として働く私が,特に若手から中堅の方々へ伝えたいことは“プレゼンテーション(以下,プレゼン)力”です.皆さんは“プレゼン”と聞くとどのようなイメージを思い浮かべますか.われわれの業界では学会のシンポジウム,講演などが思い浮かべられると思います.このようなプレゼンはベテランが話す機会が多く,若手では少ないため,プレゼン力はベテランになったときに必要と思われるかもしれません.しかし実際にはプレゼンは日常的にやっていることも多くあります.したがって,若手の皆さんもプレゼン力を高めたほうがよいと考えています.本稿では,私がプレゼン力を必要と感じた理由,そしてプレゼンの正しい知識について少しご紹介したいと思います.本稿を読み終えたときに,皆さんにプレゼン力の重要性を共感していただけたらうれしく思います.

 まず,私がプレゼン力を必要と感じた理由についてお伝えします.私が若手の頃は自分がやっている検査(主に微生物),もしくは他領域の検査データ,病態,疾患,治療について学んでいれば十分と考えていました.そのため,さまざまな学会に行って講演を聴いたり,論文を読みあさったりしていました.しかし中堅となり,会議内での発表や研修医のレクチャーなど人前で話す機会が増えてきて,自分の知識をそのまま伝えていけばよいだろうと安直に考えていました.ある日,Gram染色をみてみたい,教えてほしいという研修医から連絡がありました.私はGram染色の有用性を臨床にもっと知ってほしいと思っていたのでとてもうれしく,研修医に自分の知っている知識を可能な限り伝えるよう努力しました.その場はスムーズに終え,自分も満足な気持ちとなり,きてくれた研修医とはこれからも交流を深めたいと思っていました.しかし,その後その研修医は来ることはありませんでした.何がいけなかったんだろうと原因を探し行き着いた先が“プレゼン力”でした.

参考文献

1)グロービス(著),吉田素文(監):グロービスMBAで教えているプレゼンの技術 人を動かす勝利の方程式,ダイヤモンド社,2014
2)宮城信一:プレゼンデザイン(https://ppt.design4u.jp/)(最終アクセス:2024年5月10日)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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