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文献詳細

雑誌文献

臨床検査7巻3号

1963年03月発行

文献概要

用語解説

血球の分化と増殖

著者: 天木一太

所属機関:

ページ範囲:P.219 - P.219

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 造血臓器に限らずどの臓器もすべて一つ一つの細胞から構成されていることは同様で,絶えず新しい細胞が細胞分裂によって作られ(増殖),老廃細胞とおきかわっている。また成長期にあってはこの細胞の増殖によって細胞数が増加し,臓器が増大していく。また細胞は細胞分裂の前にもあとにも,細胞外からいろいろの材料を取り入れて,細胞内でタンパクを合成したり,いろいろの細胞内小器官を作って成熟していくが,これを細胞の分化という。血液疾患を取り扱い,考えていく上に,細胞の分化と増殖ということは特に重要であって,他の疾患の場合よりはるかによく研究され解明されている。
 血球はすべて造血臓器でつくられる。すなわちリンパ球以外の血球は骨髄で,リンパ球はリンパ節やその他のリンパ組織で作られる。それより血管内に入り,血管内で,あるいは更にここから組織内に遊出して,そこで機能を営み,ついで崩壊して行くから,その分を常におぎなっていくことが必要になる。造血臓器における増殖が不十分であったり,血球の崩壊が激しすぎたりすると,血中のそれぞれの細胞は減少し,貧血,白血球減少症および血小板減少症などになる。また増殖が過剰の場合には血球が増加して,どれも重要な血液疾患になる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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