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文献詳細

雑誌文献

臨床検査8巻3号

1964年03月発行

文献概要

技術解説

Sephadexによる除タンパク法

著者: 田村善蔵1 谷村たけ徳1 佐藤弘幸1

所属機関: 1東京大学薬学部薬品分析化学教室

ページ範囲:P.189 - P.193

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I.ゲル濾過とは
 一般に生体試料の分析に先立ち化学反応の妨害をするタンパク質は,定量をしようとする成分によって各々異なった方法で除去されてきた。たとえば血糖は水酸化バリウムと硫酸亜鉛で,鉄,銅などはトリクロル酢酸で,またクレアチニンはタングステン酸ナトリウムと硫酸で処理するなどしてタンパク質を変性沈殿させ,あるいは沈殿剤への吸着によって除いた上清について定量がおこなわれている。ここで述べるゲル濾過は通常タンパクの分画に用いられているSephadexを除タンパクの目的で使用したもので,従来の方法と比較すると透析法にもっともよく似ているがさらに能率がよく,タンパク質などの高分子成分と除タンパクされた低分子成分とがともに1回の操作で得られる。また除タンパクされた液は特別な試薬を含まず,すべての低分子成分が損失なく回収されるので多成分の定量に用いることができる。
 Sephadexはデキストラン分子を架橋して種々の大きさの網目構造を持つポリマーとし,その架橋度によって網目の大きさを調整して分子の大きさによってふるい分けられるようにしたものであり,外観は白色の粉末である。除タンパクにはこれを水で膨潤させガラス管につめてカラムを作りクロマトグラフィーを行なう。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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