座談会
検査室と事務器
著者:
樫田良精1
松村義寛2
松橋直3
高橋昭三4
野中貞亮5
中根英司6
関昌6
所属機関:
1東大中央診療都
2東女医大生化学教室
3東大血清学教室
4東大細菌学教室
5日本事務能率協会
6東京事務器KK
ページ範囲:P.476 - P.485
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樫田 今日は検査室と事務器械というテーマで,いろいろお話してただきたいと思います。現在検査室では,毎日たくさんの検査をできるだけ能率的に,しかも正確に処理しなければなりませんが,また検査にともなう伝票類をうまく運ぶとか,あるいは検査のデータをうまく整理して統計をとるとかいうような仕事もあります。病院の中に一つの新しい機構として生まれた中央検査室ができるだけ能率的な仕事をしているのに比べて,病院全般の事務機構は割合に旧態依然たるところが多いようです。一般の会社などでは,技術革新に伴う事務の能率化ということが,相当に促進されていると思いますが,今の日本の医療施設というものは,大部分が国民皆保険制度にともなう煩雑な書類行政におしまくられて,事務能率化が阻止されていると思います。いちいち何のために治療したのか,何のためにそういう検査をしたという理由のついた申請書をそういう書類審査する機関に毎日出さなければ経理ができないという仕組みになっておりますので,事務機構そのものは,非常に近代化しにくい状態になって来ている。その結果病院の一部はどんどん近代化されているのにもかかわらず,事務的なものはあまり進歩していないのです。せめて検査室の中だけでも技術面ではどんどん進歩しておりますので,それに関連した事務器とか,あるいは事務的システムを,いろいろお話しいただいて,最小限取り入れられるものは取り入れるようにしていきたいというのが,この座談会の主なねらいでございます。
大へん理解しにくいような前置きになりましたが,病院の中で利用できそうな事務器,これは非常に広い意味にも,また狭い意味にも解釈されると思いますけれども最初に野中さんに,事務器というものはどういうものかというような概説を簡単にしていただいて,その中で病院,あるいは医療関係で,少しでも利用できるものはどの程度かという話をしていただきたいと思います。