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肺吸虫症の補体結合反応—その術式について
著者: 辻守康1
所属機関: 1千葉大学医学部寄生虫学教室
ページ範囲:P.697 - P.702
文献購入ページに移動 肺吸虫症の確定診断は,患者の喀痰あるいは糞便中より肺吸虫(Paragonimus westermani)の虫卵を証明することであるが,肺臓内で虫嚢を形成し,その中に本種吸虫が生棲する関係上,常にそれらの検体から虫卵が証明されるとは限らず,また脳,皮膚などの異所寄生例ではまったく患者の体外に虫卵が排出されないので,その診断は非常に困難である。そこで本症における免疫血清学的診断法が重要な意義をもつのであるが,そのうち皮内反応については,すでに千葉大学横川宗雄教授,九州大学宮崎一郎教授など多くの研究がなされ,それぞれVBS抗原,ppt抗原と呼ばれて,広く疫学的,臨床的にも用いられているのであるが,補体結合反応については,1956年に横川宗雄,粟野林両氏の発表により,その術式が確立されているにもかかわらず,あまり実施されていないようである。最近,本症の優れた治療薬Bithionol(Bitin)が見出されて以来,その診断および治癒判定の一手段として本反応の意義が高く評価され,多くの衛生研究所,保健所や病院より患者血清の検査を依頼され,また術式の説明を求められるので,肺吸虫症補体結合反応が各検査室で実施されることを望み,その術式についての解説を試みた。
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