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Coulter counterによる白血球の算定—特にCetyltrimethylammanium chlorideを用いる方法
著者: 天木一太12 岩田弘12
所属機関: 1日本大学医学部萩原内科教室 2日本大学板橋病院中央検査科血液室
ページ範囲:P.703 - P.707
文献購入ページに移動自動血球計算機が天木ら1)により検討されて以来,最近ではその種類も外国製品を含めて9種を数えており2),日常検査に利用されはじめている3)—6)。特に赤血球の算定はどの器械も比較的簡単に算定され,その成績は正確で能率的である。白血球の算定についてもそれぞれ方法が報告されているが7)8),本邦では広くは行なわれていない。自動血球計算機で白血球の算定を行なうには,希釈操作の簡便化,抗凝固剤および赤血球溶解剤の選定とその使用法,白血球を障害することなく,赤血球を完全に溶解しなければならないことに,なほ問題がある。寺村9)は,Mount Sinai病院で行なっているCoulter counterによる白血球の算定にSaponinを用いる方法を報告している。この方法は希釈操作が簡単で能率的であるので,われわれもこの方法を用いて白血球の算定を行なってみたが,赤血球の溶解が完全でなく,gostが残って算定の障害になる。また白血球の変性が起こりやすく,15〜20分以内に算定をおわらなければならない不便がある。その他赤血球溶解液として,酢酸4)や塩酸10),TritonX−10011),Cetavlon12)などを用いる方法が報告されているが,いずれも試薬調製,あるいは希釈操作が煩雑である。われわれは白血球の算定に赤血球溶解液として,Ce-tyltrimethylammonium chloride CH3(CH2)15(CH3)3NC1.東京化成,米国の商品名Cetav-lon,を用い,その算定方法について検討を行なった。その結果,赤血球は完全に溶解してgostがなく,白血球の変性も緩慢であって,溶解液を加えてから5時間以内は算定値に変動がなく,希釈操作も簡単で,再現性がよく,白血病症例でもよい成績を示したので,日常検査に使用している。
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