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文献詳細

雑誌文献

臨床検査9巻13号

1965年12月発行

文献概要

グラフ

寄生虫卵と誤りやすいもの

著者: 浅見敬三1

所属機関: 1慶応大学・寄生虫学

ページ範囲:P.1335 - P.1336

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 糞便内には寄生虫卵に酷似したものが数多く含まれている。それらはあるいは食物残渣であったり,食物とともにまぎれこんだ植物体や動物体の部分であったりする。もっとも困惑させられるのが,人体寄生虫卵ではない動物の卵の場合である。これは植物片や食物残渣と異なり,完全な動物の卵なのであるから,卵らしい特長を備えている。このような卵に遭遇した場合にわれわれに必要なことは,これは何だか同定はできぬが,人体寄生虫卵ではないと断言できるように人体寄生の種類の卵について十分な知識をもつことである。
 往々糞便内に見られる人体寄生虫のものではない虫卵としては,山芋などに寄生する根瘤線虫(MeloidogyneまたはHeterodera)卵,トビウオ,アジなどの皮下筋肉中の不明虫卵,ダニ類の卵などである。根瘤線虫卵はわれわれの頻繁にとろろ芋を食べる習慣から相当な頻度で見出され,東洋毛様線虫卵に,大きさ,形,色などが似ている。しかしより細長く,往々バナナ形に曲っており,内容の色が黄色を帯び,子虫期までの種々の時期のものが混在することなどから,ちょっと馴れれば鑑別は難しくない。また,患者に問うと2〜3日前以内に芋を食した前歴をもっている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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