治療のポイント
・緊急対処を要する疾患を見分けられるかが,ポイント.
・くも膜下出血など緊急を要する2次性頭痛を念頭においた対応が必要.
・くも膜下出血であれば鎮痛・鎮静・血圧管理が重要.
◆病態と診断
A病態
・くも膜下出血は,突然の脳動脈瘤破裂が原因となる.多くは脳主幹動脈に発生する動脈瘤の破裂によるため,出血量が多く,急激なくも膜下腔への出血と頭蓋内圧亢進をきたす.
・脳動静脈奇形からの出血,脳腫瘍などからの出血も突然の頭痛をきたすことがある.
・頭部外傷歴がある場合には,外傷性くも膜下出血の可能性や,受傷から時間が経過した症例の場合,外傷性の仮性脳動脈瘤からの出血もありうる.
・片頭痛,群発頭痛など1次性の頭痛でも突然の頭痛で受診することがあるが,この場合は真の「突然」発症ではないことが多い(「B診断」を参照).
・緑内障発作も頭痛を呈することがあるが,その場合眼痛や視力低下を伴う.
・髄膜炎,脳炎などでも頭痛を呈することがあるが,突然の頭痛で発症することはまれで,発熱を伴う.
B診断
・重要なのは,頭痛が「突然」発症か否かである.くも膜下出血に伴う頭痛では,「突然バットで殴られたような頭痛」を特徴とする.1次性頭痛の患者であっても突然の今まで経験したことがない頭痛はくも膜下出血を疑う.
・悪心,嘔吐,意識障害を伴う場合,頭蓋内圧が亢進している可能性もあり注意する.
・脳動脈瘤破裂が原因となるくも膜下出血では,適切に対処しなければ再出血し,転帰不良となる.
・くも膜下出血が否定される場合,以下の2次性頭痛を鑑別する.
①脳出血,②脳動脈解離,③高血圧性脳症,④下垂体卒中,⑤脳静脈血栓症,⑥可逆性血管れん縮症候群,⑦中枢神経感染症,⑧緑内障発作.
C緊急検査
・重要なのは,くも膜下出血などの緊急を要する病態が潜在しうることである.急いで,患者のバイタルサイン(呼吸,血圧),意識状態,麻痺の有無を確認する
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