頻度 あまりみない(2004年の国内調査で20万分の1)
GL安全な輸血療法ガイド(2012)
治療のポイント
・輸血直後の急変では血液型不適合も考慮し,輸血された血液製剤の再確認を行う.
・直ちに輸血を中止し,輸血量を最小限にとどめる.
・生理食塩液による大量輸液を行い,循環血液量と臓器血流の維持に努める.
・死亡率の高い病態であることを共通認識し,患者家族への的確な説明とともに,可及的すみやかに集中治療が可能な施設へ搬送する.
◆病態と診断
A病態
・赤血球表面には抗原性を有する糖鎖や蛋白が存在し,ヒトではA抗原・B抗原・Rh抗原など41種類が知られている.
・ABO式血液型不適合では溶血・急性腎不全・DICなど重篤な急性全身反応を生じ,国内ではO型,A型,B型患者の順に多く,AB型患者では発生しない.死亡率は6~25%と報告されている.
・抗原抗体反応により補体が活性化され,数分後から数時間以内で発症する即時型と,同種抗原感作によって体内で抗体産生が誘導されたのち24時間以降に発症する遅発型の2型に分類される.
・輸血された赤血球が溶血し,補体の活性化から連鎖的に,さらに高度な溶血反応が起きる.TNF-αや各種サイトカインを介した二次的全身炎症により臓器不全が進行する.
・重症度は輸血された赤血球の量と患者が有する抗体の性質に依存し,50mL以上の不適合輸血での死亡率はおよそ17%と報告されている.
B診断
・輸血開始後に,急激な発熱と悪寒戦慄,悪心・嘔吐,呼吸困難,何らかの苦痛,輸血部位や頭部・体幹部・腰部に局在的な疼痛を訴え,血圧低下・頻脈,ショック状態となり,皮膚の紅潮や赤褐色尿(ヘモグロビン尿)を認める.DICに陥れば臨床的出血傾向をきたす.
・Hb低下,LD上昇,AST上昇,血清K上昇,ハプトグロビン低下,ヘモグロビン尿など,溶血性貧血に合致した検査所見を認める.
・直接クームス試験は陽性を