局所麻酔は外来での小手術や処置などで使われる簡便な麻酔法である.局所麻酔の投与方法や投与部位によって効果は異なるため,使い分けが重要である.麻酔薬の量は年齢,麻酔領域,部位,組織,体質により適宜増減する.広範囲の麻酔や長時間の手術,処置では,静脈麻酔の併用あるいは硬膜外麻酔,脊椎麻酔を考慮する.
A表面麻酔
局所麻酔薬を直接創部の表面に投与する方法である.麻酔効果は表面のみに限られる.さまざまなタイプの製剤があり,部位や用途に応じて使い分ける.効果発現までの時間が異なるため注意を要する.
1.ゼリー
尿道カテーテル,経鼻胃管などの挿入時や,直腸診,皮膚の擦過傷の鎮痛などに使用され,汎用性が高い.効果発現まで2~5分間を要するが,創傷の表面麻酔では部位によって10分間以上を要することもある.
Px処方例
リドカイン(キシロカイン薬)ゼリー 尿道麻酔:通常成人では男性は10~15mL,女性は3~5mLを使用(製剤量として)
2.スプレー
口腔粘膜,喉頭・咽頭の処置,内視鏡前処置などで使用される.気管チューブ内には噴霧しない.作用発現まで2~5分間を要する.気管挿管には適当量を使用する.
Px処方例
リドカイン(キシロカイン薬)ポンプスプレー 成人では1~5回 噴霧
3.クリーム,テープ
注射針,静脈留置針の穿刺予定部位の健常皮膚にあらかじめ塗布,貼付しておく.効果発現までにかなり時間を要する.創傷には使用しない.
Px処方例 下記のいずれかを用いる.
4.点眼
各種の眼科疾患や,眼の外傷,異物などに対する検査,処置のために使用する.鎮痛のみの目的に使用しない.10~20秒ですみやかに効果を発現するが,効
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