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胸腔穿刺法,胸腔ドレナージ法 [■体腔,管腔の処置]
thoracentesis,tube thoracostomy
永嶋 太
(公立豊岡病院但馬救命救急センター・センター長(兵庫))

◆病態と診断

・胸腔穿刺法と胸腔ドレナージ法は,診断や治療を目的に胸腔に貯留した気体や液体を排出させる手技である.

・適応は気胸,症状を伴うまたは繰り返す胸水,血胸,膿胸,乳び胸などである.

・緊急を要することもあり,適応・手技などについて十分な理解が必要である.

◆治療方針

A適応

 診断・治療を目的とする緊急あるいは一時的ドレナージを行う場合は胸腔穿刺法を,持続的ドレナージによる治療を主として行う場合には胸腔ドレナージ法を選択する.

B準備

 個人防護具,滅菌手袋およびガウン,皮膚消毒薬,滅菌ドレープ,ガーゼ,局所麻酔用注射針,局所麻酔薬,メス,縫合セット,ペアン鉗子,静脈留置針,アスピレーションキット,胸腔ドレナージチューブ(気胸:16~24F,胸水:20~24F,膿胸・血胸:28~32F),チェストドレーンバッグまたは持続的吸引装置.

C緊張性気胸に対する緊急胸腔穿刺

1.適応

 胸痛や呼吸苦,呼吸促迫とともに頻脈・血圧低下,患側呼吸音の減弱・消失,患側の胸部膨隆,頸静脈怒張,頸部気管の健側への偏位,皮下気腫,SpO2 の低下などを認めれば,胸部X線写真の確認を待たず直ちに穿刺を施行する.

2.方法

1)患者は仰臥位とする.

2)穿刺部位は第2肋間鎖骨中線で,消毒後に10mL注射器を付けた18G以上の太い静脈留置針で穿刺する.

3)針を進め,壁側胸膜を貫き,空気の流出を認めたら,肺を損傷しないように外筒のみを進め内筒を抜去する.

4)バイタルサインを確認し,胸腔穿刺の効果判定を行う.

3.注意点

 効果が不十分な場合には,第4/5肋間中腋窩線前方からの腋窩アプローチを選択するか,可及的すみやかに胸腔ドレナージを施行する.

D胸水の穿刺吸引

1.適応

1)診断的穿刺.

2)症状を伴うまたは繰り返す胸水に対する対症療法.

2.方法

1)患者の状態により仰臥位~起坐位とする.

2)超音波(およびCT)で穿刺部位と深さを確

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