今日の診療
治療指針

胃管・イレウス管留置法 [■体腔,管腔の処置]
nasogastric tube,ileus tube
西山 隆
(自衛隊中央病院・救急科部長(東京))

 本項では,ドレナージ目的での胃管・イレウス管の留置法について述べる.

Ⅰ.胃管留置法

A適応

 消化管の通過障害や上部消化管穿孔時の胃内容の排出目的で行う処置である.

B準備

 胃管(成人:14~18F),局所麻酔用ゼリー・スプレー,カテーテルチップ,聴診器,固定用テープ,排液袋.

 抗凝固薬の内服歴や局所麻酔薬のアレルギー歴については必ず確認しておく.

C体位

 原則的には仰臥位もしくはセミファーラー位で,患者がリラックスできる姿勢が望ましい.嘔吐時の誤嚥を防ぐ意味で側臥位で行うことを考慮する.

D手技

 はじめに鼻部から挿入する長さの確認を行う.鼻中隔は左右どちらかに寄っている場合が多く鼻孔の選択は慎重に行い,鼻粘膜には十分な表面麻酔と胃管先進時の摩擦の軽減のために潤滑剤の塗布を行う.

 鼻腔内へのチューブ挿入は,頭頂向きではなく顔面に対しほぼ垂直深部向きの方向に行う.通常,鼻腔深部で先端が咽頭方向に向きを変える抵抗を感じることができ,その後は患者に嚥下動作を促しながらその調子を合わせ愛護的に胃管を進める.咽頭部付近を通過するときが最も苦しく感じる時期であり,慎重かつ手際よく操作を行う.意識のない患者では,盲目的操作になるため胃管の挿入抵抗を感じる場合は決して無理はしない.

 挿入操作終了後は,胃管挿入長,胃泡音の聴取,X線撮影で胃管の走行や先端位置の確認を行い胃内に留置されていることを確認する.胃管の排液が強酸(pH<2)であれば胃液の可能性が高い.

E手技のコツ

 意識のある場合は,処置の目的や意義を説明し患者の協力のもとに行うことが操作を容易にする.局所麻酔を使用する場合は,その効果を確認してから手技に取り掛かることで患者の苦痛軽減に努める.

F合併症

 鼻腔損傷,鼻出血,誤嚥,誤嚥性肺炎,気管誤挿入,鼻翼潰瘍,副鼻腔炎,消化管損傷.

Ⅱ.イレウス管留置法

A準備

 挿入手技は生体監視モニターを装着

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