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小手術手技,皮膚開放創の処置 [■外傷処置]
minor surgical technique and management for open wound
和田大樹
(関西医科大学講師・救急医学)

治療のポイント

・皮膚開放創は,日常診療の場で治療する機会は多い.

・創処置を行うときは,必ず標準感染予防策を実施する.

・創処置で,最も基本的なものは創洗浄である.

・縫合処置では,表皮・真皮・皮下組織の各層を正確に縫合することが重要である.

・創処置後は創部を湿潤環境におくために適切なドレッシング材で覆う.

◆病態と診断

A病態

・創傷治癒過程は,炎症期(~48時間)・増殖期(4~21日)・成熟期(1~6か月)に分けられる.効率のよい創傷治癒のためには,生体の産生する各種サイトカインや増殖因子,酵素を創面に保持し,適度な湿潤環境を維持することが重要である.創傷治癒の形式としては,創縁同士が正しく接着して治癒する1次治癒がある.創縁同士の接着がなく開放された状態で治癒するものを2次治癒といい,通常,肉芽形成や瘢痕を残して治癒する.

B診断

1.初期評価

 見た目に派手な皮膚開放創に目を奪われ,生命を脅かすような外傷を見落としてはならない.創部から活動性出血があれば,まず圧迫止血を試みる.初診時には一見軽症に見えても,深部の血管や臓器の損傷により生命が脅かされることがあるので,深部への損傷が疑われる場合は,CT,超音波などの画像検査を実施する.創処置を行うときは必ず,手袋・マスク・帽子・ガウンなどの標準予防策を実施する.また,受傷機転,受傷からの時間,既往歴,服薬状況,破傷風ワクチンの接種状況,アレルギー歴などの病歴を聴取する.

2.創の評価

 創の深さや広がり,汚染や挫滅の程度,縫合の適否を評価する.

a.創の大きさ・広がり

 一見小さく見えても,皮下で広範囲に剥離していることがある.したがって,外見にとらわれることなく,外力の方向などを参考に創内を観察し,疑わしい場合は筋鈎を使用したり,補助切開を加えて確認することが重要である.

b.創の深さ

 筋膜に至る深達性の創では,血管,神経損傷の可能性が高くなる

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